1990-02-28 | 鄭鉉祐

[古典と現代経営] 鄭鉉祐(淑明女子大教育院教授)能力に合う要職を与えれば奮起する

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◇豫護、智伯の恩に報いるため趙襄子を狙う 晋が乱れ、重臣たちが互いに領地を分割して保有していた頃のことである。重臣の一人であるSaramin智伯の勢が最も強かった。 彼は他の重臣である韓氏と魏氏を抑え込み、彼らを自らの支配下に置くと、三者が連合して趙襄子を攻撃した。趙襄子は晋陽城へ逃れ、必死に防戦した。 晋陽城は実に堅固であった。そこを預かり治めていた地方官が善政を敷いていたため、民が積極的に協力した。智伯は晋陽城の前を横切って流れる川の水をせき止め、水攻めを行う計画であった。 しかし趙襄子は籠城している間に密かに韓氏・魏氏らと内通して同盟を結ぶ一方、智伯を奇襲した。 虚を突かれた智伯は大敗し、智伯自身は趙襄子に討たれてしまった。こうして晋は韓・魏・趙の三国に分割された。 趙に平和が訪れたある日のことである。趙襄子が便所へ行った際、ちょうどそこで漆を塗っていた者が怪しげな目つきで見つめていた。趙襄子が官吏に調べさせたところ、その男はかつて智伯に仕えていた予譲という者であった。 予譲は懐に短刀を隠していた。趙襄子は予譲を徹底的に調べよと命じた。予譲は仇を討つため趙襄子を殺そうとしたと自白した。 趙襄子は予譲の過去を調べてみた。彼は智伯に仕える前、中行氏に仕えていた事実が明らかになった。また范氏にも仕えた事実があった。 趙襄子は予譲を呼び、直接尋問した。 『お前は以前、范氏と中行氏に仕えたことがあるというが、それは事実か』 『はい、そうです』 予譲は率直に認めた。 『范氏と中行氏はいずれも智伯の手で滅んだ。ならば智伯は彼らの仇ではないか。それにもかかわらず、お前は范氏と中行氏の仇を討たなかった。それでいて今度は智伯のために仇を討つというのは、いかなる理由か』 予譲は落ち着いて答えた。 『それにはそれなりの理由がございます。范氏と中行氏は私を認めてくれませんでした。しかし智伯氏はそうではありませんでした。私を抜擢し、要職に就けてくださいました。すなわち国士として待遇してくださったのです。古い言葉にもあるではありませんか。士は己を知る者のために命を捧げ(士爲知己者死)、女は己を悦ばせる者のために化粧をする(女爲悅己者容)と。ですから私は、智伯が私を国士として待遇してくれたことに報いようとしているのです』 『ふむ…なるほど義理のある者だ』 趙襄子は予譲を許し、縄を解いてやるようにした。 しかし予譲はその後も智伯の仇を討つと言って趙襄子の命を狙った。予譲の友人はそうする予譲を見て、むしろ趙襄子に仕えてはどうかと勧めた。予譲の才能を惜しんだからである。 だが予譲は最後まで趙襄子を殺そうとして捕らえられ、処刑された。 ■現代経営のポイント 部下に対しては個人の名前を呼ぶよう心を配れ。 人は大概、小さなことに拘らないふりをするが、内心ではやはり大いに気にしているものである。それゆえ人前でむやみに叱ったりすれば、想像した以上に心に傷を与える例が多い。 これとは反対に、些細なことであっても認めてやれば意外に奮起する場合が多い。例えば相手を呼ぶ場合、君とかお前などという代名詞を使わず、名前を呼ぶようにする必要がある。時には名前を混同して誤って呼ぶこともあるが、そのような軽率な振る舞いは避けるべきである。