1990-12-31 | 申正燮

[今日の経済書]米ビジネス書、旧栄光の再現策が主流 ビジネス・ウィーク誌が選んだ「1990年経済書トップテン」

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1990年、米国をはじめ欧州および日本など先進国の出版界は、かつてないほどビジネス関連の経済書が注目を集めた一年であった。 特に米国経済の低迷は、これまで顧みられてこなかったこの分野に新たな需要をもたらし、こうした流れはビジネス関連図書をベストセラーの座に押し上げもした。この傾向は今後2~3年は続くとみられる。 本年の米国のビジネス関連ベストセラーは、二つの重要な傾向を示した。一つは、かつて米国の名声を高めたビジネスの成功談への関心であり、これは自伝の形で現れた。もう一つは、米国の栄光をいかに取り戻すかについての主体的な代案提示である。 専門家らはこうした危機打開のため、競争力の回復を一般大衆の言葉で強調している。しかし、その叫びが効果を生むにはなお時間が必要なようだ。世界の経済研究機関はいずれも1991年の米国経済を悲観的に予測しているからである。 いずれにせよ、米国の世界的経済週刊誌「ビジネスウィーク」の書評担当者デニス・ドモン(Denise Demong)が選んだ「1990年のベスト・ビジネス・ブック」10冊を簡略に紹介する。 ▲日本人上司に仕えて マツダ米国現地工場の内情(Working for the Japanese: Inside Mazda's American Auto Plant)=日本企業の米国進出が増えるなか、日本企業で働く米国人の実像を余すところなく描き出した。1987年の工場開設時にマツダが公約した従業員への尊重と配慮が、最近どう変わったかも分析している。生産ラインで水も飲めなくなった米労働者は不幸になり、マツダが掲げた日米文化を調和させた第三の文化は依然として幻想のままだと著者らは皮肉る。(Suzy Fucin外著、フリープレス刊)▲門前の野蛮人:RJRナビスコの没落(Barbarians at the Gate: The Fall of RJR Nabisco)=1980年代のアメリカンドリームの象徴であるRJRナビスコの成功談と資産運用戦略を紹介した本。百万長者として華やかな脚光を浴びたナビスコの多彩でドラマチックな歩みを興味深く追跡した。(Bryan Burrough & JHelyar著、ハーパー&ロウ刊)▲ワンダー・ボーイ(Wonderboy)=米ウォール街で18歳にして自力で成功し、百万長者となって世間を驚かせたB・ミンコウが、いかにして21歳で監獄に入ることになったかを掘り下げた本。(Daniel Akist著、スクリブナーズ刊)▲華やかな栄光(In All His Glory: Life of William S Paley)=米CBSの創設者ウィリアム・S・ペイリーの生涯を描いた伝記。創造の天才であり卓越した事業家としてのペイリーが、CBSを世界的な放送局にいかに育てたかを掘り下げた。(Sally Bedell著、サイモン&シュスター刊)▲法それ自体:権力、政治、そしてIRS(A Law Unto Itself: Power, Pollitics and IRS)=米インターナショナル・レベニュー・サービス(IRS)社の活躍を描いた本。著者は、米国の歴代大統領が政敵を攻撃するのにいかにIRSを利用したかを掘り下げている。(David Bumham著、ランダムハウス刊) ▲史上最大の銀行強盗:S&L産業の崩壊(The Greatest-Ever Bank Robbery:The Collapse of the Savings & Loan Industry)=米国で最近論争となっているS&Lスキャンダルに関する本。S&Lの破綻について米国のアナリストは1980年代から予想されていた出来事だとするが、本書の著者はS&L社の崩壊原因は1950年代から用意されてきたと指摘する。著者は規制緩和、レーガノミクス、米議会、景気循環が原因だとする分析に同意せず、銀行家とウォール街の人々こそS&L没落の原因提供者だと強調している。 ▲期待できない時代:1990年代米国の経済政策(The Age of Diminished Expectations:USECOnOmic Polioy in the 1990's)=米国経済の現況と展望に関する基本報告書。MIT大教授である著者は、難解な経済理論を面白い散文で解説し、難しい概念を平易に説き明かしている。著者は所得分配・失業・財政赤字・日本との競争といったテーマを冷静に解説する。米国経済の先行きを暗くする力が何かを、公正かつ完璧に説明してくれる。(Paul Krageman著、MITプレス刊) ▲国家競争力(The Competitive Advantage of Nations)=10年間にわたり30人の専門家が取り組み、世界各地域で成功した産業分野と国家の姿勢に関する研究結果をまとめた報告書。著者は世界各国の成功事例を分析し、米国の競争力が再生しうる方策を提示している。(Michael Porter著、フリープレス刊)▲規模と範囲:産業資本主義の力学(Scale and Scope: Dynamics of Indus trial Capitalism)=経営史学者アルフレッド・チャンドラーの最大の力作。著者は米国・英国・ドイツの200大企業の1880年代から1940年代までの発展史を分析した。国を問わず、成功した企業は経営・生産工程・そして供給テクニックの発展に投資したという共通点を持つと分析する。本書は最近論争の絶えない米国経済の先行きに時宜を得たデータを提供しており、関心を集めている。(Alfred Candler著、ハーバードプレス刊) ▲非理性の時代(The Age of Unreason)=米国経済についての展望を最も的切に提示している。著者は技術こそがわれわれの生活を変革した要素だと指摘し、米国景気が蘇生するための処方を示している。本書は来たる変革の時代を予測させ、それに対処し成功するための方策を収めた1990年代のガイドラインである。(Charles Handy著、ハーバードビジネススクール刊)【申正燮(シン・ジョンソプ)記者】

[写真]◇米国人が米国内に進出した日本などアジア系商社に仕えて働くことは、今日の衰退した米国経済の姿を示す事例だと分析したビジネス関連書が多数出版された。