1991-04-30 | 李建榮

[寄稿] 迷走する交通行政 李建榮<国土開発研究院研究委員>

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交通関連部署の長官らが青瓦台に集まり、大都市の交通問題の解決を約束してからちょうど1年になった。この間、各部署から数え切れないほど多くの政策代案が出てきたが、どれ一つまともに施行されたものはなく、大都市の交通問題は依然として乱麻のように絡み合っている。交通問題は民生問題であるため、日々市民が味わう苦痛は大きい。自動車でびっしり埋まった街路で浪費する時間に苛立ち、すし詰めのバスや地下鉄に苦しむ市民は疲れきっている。 交通問題は国富にかかわらずすべての国が共通して抱える問題だが、わが国のように拙速な代案だけが乱舞する国もないだろう。問題への深い認識を基に解決策を探すよりも、奇怪な発想だけが乱舞している。 拙速行政の白眉は「トンネル」である。ソウル市は2兆4000億ウォンを投じて60キロメートルの都心貫通地下道路を建設するという。これはパリのラセール(LASER)プロジェクトを模したものであることが明らかである。ラセールプロジェクトは1985年にフランスの民間会社が自主的に提案した案で、いまなお論争を繰り返しているだけの状況である。 もちろん正確な研究結果が出なければ分からないが、ソウルの場合、地下高速道路は問題の解決にはなり得ない。交通問題を見る視角からして問題なのである。都市交通政策は交通渋滞を解消することにあるのではない。適切な水準の交通渋滞はむしろ必要なものである。問題は、どの水準で交通需要を抑制し分散させ、都市全体の機動性を高めるかということだ。地下高速道路を造れば、それだけ多くの車が都心に押し寄せるだろう。当然、都心部にさらに多くの道路を造らねばならず、さらに多くの駐車場を造らねばならない。自動車のための施設の拡張には終わりがない。 1世帯2自動車への重課税や車庫証明制度のように、自動車普及の手綱を締めようという発想も出ている。いったいわれわれの社会で、長官・次官や社長の車がどこに個人所有となっているだろうか。 社長はベンツに乗り、夫人はグレンジャーに乗っても1台だが、中産層の共働き夫婦がプライドを2台走らせたからといって重課税するなら、この地はあまりに不公平である。長官も社長も専用で使う車があるなら当然1台の基準になるべきだが、わが現実はそうではない。それだけでなく、社長の車は車庫が厳然と会社になっており車庫証明の負担がないだろうが、庶民はそうではない。結局、力のある者は避けて通り、力のない庶民ばかりが手玉に取られるのである。 今のような行政力でどうやって車庫証明を確認するのか。実際に車庫の用意ができていない人は偽の証明書を探し回り、車庫にも税金分のプレミアムがつくだろう。無住宅証明が権利札のように流通するように、数坪の空き地が札として取引されるだろう。わが国民はこうした便法にすっかり慣れている。粗雑な政策が国民をこのように「偽り」に慣らしているのである。 10部制を再び採択しようという話が出ており、都心進入税の徴収も時間の問題のようだ。加えて交通影響評価制という粗雑な制度の強化方案も出ている。ようやく自動車時代の初期にすぎないのに、交通問題が深刻になったからといって、自動車はできるだけ所有せず利用せず、建物はできるだけ建てるなという発想である。 都市の機動性を高め経済活動を促進するために交通が存在するのではなく、動かない都市を夢見ているかのようである。ここでぜひ指摘しておきたいのは、前回10部制を施行したとき、はたしてわが長官・次官や会長・社長たちがこれを守ったのかということだ。総理が歩いて出勤し、主務部署である交通部長官がようやくバスと地下鉄に乗ったという記事は読んだが、他の長官がバスや地下鉄で通勤したという話は聞かなかった。10部制なら理論的には道路上の車両を1割減らせるが、最近の車両増加速度からみれば数か月後には再び元の水準に戻る。実効性もそれだけ疑問視される。 おそらくこれほど交通政策が右往左往する国もないだろう。ソウル市内道路の車線はペイントが乾く日がない。先に言及した各種政策の例は外国にもあるにはある。車庫証明は東京で施行中であり、都心進入税はシンガポール、交通影響評価はブラジル、5部制はメキシコシティーで採択している。いずれも彼らなりの悩みと条件に応じた苦肉の策である。これらの政策がすべてソウルに無条件で合うというのか。だからソウルはあらゆる交通政策の万物相になりそうである。 都市交通政策は、トンネルを掘るような供給一辺倒の政策では立ち行かない。自動車はようやく普及の初期段階なのに、今から締め上げる必要はない。所有よりも利用を抑制する方向に進むべきである。わが国の自動車関連税金は非常に高いが、ガソリン価格は欧米先進国や日本に比べてとてつもなく安い。 高い金を払って手に入れた自動車は、熱心に利用するようになるものである。 ようやく自動車産業の初期であることも留意すべきである。自動車産業は機械工業の花である。最近の米国の衰えた姿は、自動車産業の主導権を日本に奪われたためである。日本の自動車輸出は日本全体の輸出高の4分の1近くになる。わが国はせいぜい4%水準である。それだけ潜在力は高い。 いずれにせよ大都市の自動車は増え続けるだろう。交通需要も増え続けるだろう。当初から施設が不足していたソウルなど大都市の交通問題は、ますます深刻になるだろう。これに対する賢明な選択は、地下鉄・電鉄を着実に拡大し、あわせて粘り強く自動車文化が定着するよう導くことである。政府は長官も率先垂範できる政策、政権が変わっても変わらない政策を選ばなければならない。そうして政策に脈が流れなければならない。