93年から実施されるEC統合が近づくにつれ、欧州各国の美術品所蔵家が統合後の規制に備え、国宝級をはじめとする所蔵品を売りに出しており、欧州美術市場は大きな混乱と論争に陥っている。国宝級が競売に出るというのは、以前は難しいことであった。 英国・フランス・ドイツ・イタリア・スペインなどのコレクターは、欧州経済圏が統合されれば美術品売買に課される各種税金が引き上げられ、輸出入規制など不利な条件が生じるとみて、競うように所蔵品を競売に出している。 このため、美術品の輸出規制が厳しいイタリア・スペイン・ギリシャなど南欧諸国と、比較的輸出が自由な英国・ベルギー・オランダなど北欧諸国の間で、国宝級作品の売買をめぐる南北論争が起こる兆しまで見せている。 来る4月15日にロンドンのクリスティー競売場に出品されると発表された英国の国宝級作品「リスとムクドリを伴う女性像」の場合が、最近の事態をよく示す見本である。ヘンリー8世の宮廷画家であったホルバインが1527年ごろに描いたと推定されるこの作品は、英国の伝統的美術界を代表する肖像画である。この作品の所蔵家であるショルモンデリー公爵は、家宝として伝わってきたこのKoogboを2500万ドル(ハンファグループ 約191億7500万ウォン)の予定価格で出した。彼は「文化財の輸出規制がない年末前にこれを処分し、財政的な困難を軽くする考えだ」と述べた。 この4月の競売には、また西洋美術史で巨匠に数えられるバロック時代の画家レンブラントやカナレットなどの作品が一挙に出品される予定である。 混乱に陥った欧州諸国の中でも、欧州美術市場取引の70%程度を占めてきた英国の状況が特に深刻である。 英国は美術品に対する輸入関税が免除され、輸出規制がないうえ、付加価値税制が売買者に有利で、美術品取引において他の欧州諸国に比べ特権を享受してきた。英国の所蔵家は、EC統合がこうした特恵の終焉になるとみている。 国宝級作品が競売場に売り物として出されることになったとの知らせを聞いた英国の美術関係者は「所蔵家があまりに性急なようだ。これらの国宝が米国や日本の個人に売られる悲劇を防がなければならない」と非難しながらも、「資本主義の市場論理の前では国宝も宝物も無用ではないか」との反応を見せている。 文化財保護が徹底しているスペイン・イタリアのような国の専門家は、英国のこうした状況を見つめながら「美術品を商品としか見ていない」と憤っている。加盟国間の自由な美術品流通制度を作ろうと準備中の「EC委員会」は「国ごとに異なる美術流通体系・伝統・事情のため、当面は欧州美術市場が大きな陣痛を経験するだろう」と見通している。【鄭在淑記者】
[写真] 競売に出されることになった英国の国宝級肖像画「リスとムクドリを伴う女性」の部分図。






