1992-09-30 | 서울경제

[巨物]<265>

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それから数日後の朝方だった。徐容根はいつもとは違い、やや遅めに家を出た。門まで付いて出てきた阿蘭に彼は言った。 『今は店に出るところだが、もしかすると数日後に戻ることになるかもしれない。遅くなっても待たないでくれ』 『なぜですか。松坡へ行かれるのですか』 『いや。松坡へは次の市日に行く予定だ』 『誰かが訪ねてきて尋ねたら、何と答えましょうか』 徐容根は何気なく空を見上げる。目が痛むほど青い空には雲一つ見えない。 『店の者に行き先を知らせておくから、家に訪ねてくる客はおそらくいないだろう。それでも訪ねてくる者がいたら、津場坊に連絡するように言ってくれ』 羅有仙が暮らしていた家には、今は驪州の女が行って住んでいる。徐容根は羅有仙を松坡の本宅へ送りながら、驪州の女をその家に入れた。言うなれば、羅有仙の夫である具泰鎮が失った胴巻きの代わりに、徐容根がその家を手にした形だった。 遠ざかっていく徐容根の後ろ姿を見つめながら、阿蘭は自分でも知らぬうちに口をとがらせる。津場坊の羅有仙の家に行くというなら、その腹の内はあまりにも見え透いている。ついには洪有花までどうにかしようという算段でなくて何だろう。阿蘭は思わず舌打ちをしてしまう。 『やれやれ、手に負えない!』 そうしているうちに彼女は、数日前に河宗培が義禁府から解き放たれた事実を、今ごろになってふと思い出す。徐容根と河宗培は親しい友人同士だ。獄に囚われた河宗培を救うため、徐容根はあれこれ手を尽くした。さらに、たとえ種も腹も違うとはいえ、彼女の妹である羅有仙を鼠にも鳥にも知られず見事に手玉に取った徐容根が、まさか洪有花にまで手を出すだろうかとも思われた。 『そんなことはあるまい。いくら図太く面の皮が厚いとはいえ。もし洪有花にまで手を出せば人ではなく獣だ。いや、獣にも及ばない』 彼女は懸命に首を横に振る。それがたとえ事実であっても、彼女は到底信じたくなかった。かつて徐容根と洪有花の間をせわしく行き来し、二人の密かな接触に大きな功を立てた当人であるという事実さえ、彼女は努めて忘れ去りたい心境だった。 しかし徐容根は、店に出て市廛の行首たちを呼び集め、内需司が要請した紙や魚類などを手配する方策を話し合う会議を主宰した後、まっすぐ津場坊へ向けて出発した。昼食の刻を過ぎてようやく彼は津場坊に着いた。 『わしはここで数日休むつもりだ。早めに焚き口にも火を入れ、酒膳も少し用意しておいてくれ』 驪州の女にこう指示した徐容根は、縁の端に腰を下ろした。すぐ向かいの家が河宗培の家だった。