〈囲碁評論家〉 盧承日 道はただ一つだった。自分の心臓を相手の刃の下に差し出し、相手の心臓を襲うしかなかった。 相手を楽にさせてはならない。相手にゆっくり深呼吸をさせ、かんぬきを掛けさせてしまえば終わりである。 車敏洙は覚悟を決め、超特急の強手ばかりを選んで打った。一手ごとに毒を含ませ、自陣の安全はまったく顧みなかった。 戦いたくなければ譲れと、車敏洙のすべての石が叫んでいた。趙治勲も戦わないわけにはいかなかった。 ひとまず碁盤を揺るがす乱戦へと持ち込むことに成功した。こうなると有利な形勢だった側がより重圧を感じるものである。 趙治勲は最善の仕上げのため長考に長考を重ね、最後の1分の秒読みに追い込まれてしまった。 乱戦の終わりは見えなかった。車敏洙は趙治勲の大石を抱え込み、黒の陣営のなかへ突入していった。 平常時であれば話にならない戦術だった。敵の援軍が陣を張っている地域に入っていくようなものだったからだ。 しかし車敏洙には狙いがあった。 うまく命をつなぐことさえできれば、結果的に敵の陣地をすべて踏み荒らした結果になる。どうせ死ぬか生きるかである。 一瞬、趙の読みに錯誤があった。無事に白の大石を取ったと思ったようだが、車敏洙は絶体絶命の危機のなかでも、あらかじめ読んでおいた妙手を持っていた。 乱闘の終わりが正体を現した。結論はコウ。車敏洙には自前のコウ材が2つ用意されていた。 趙は別の場所の白の大石を取るコウ材を打ってきた。しかし目前のコウはその塊よりはるかに大きく、コウに勝てばもう一つの黒の大石までおまけに飲み込める形だった。 車敏洙は目を閉じてコウを取った。それで圧勝だった。 奇跡は今年も起きた。今年の相手は昨年よりはるかに大物だった。しかも必敗の形勢から盤を揺るがした末に手にした不可思議な勝利だった。 歓声は昨年と比べものにならなかった。日本棋院の内外 は爆弾を受けた都心のように驚愕で沸き立った。 超能力の持ち主ではないかと首をかしげていた連中が、また奇妙なことを口にした。 『もしや……催眠術師ではないか。』 さらに2か月が過ぎた90年6月。8強戦が開かれた。場所はソウルのロッテワールド。車敏洙の新たな相手は大陸のツキノワグマ、聶衛平だった。 また白が出た。検討室では誰もこの対局に注目しなかった。車敏洙のやるべきことは趙治勲を倒したところですべて終わったと思われていた。 車敏洙自身も野心を捨てた。自分のやるべきことは終わったと心を空にした。 ところが様相はそうではなかった。中盤で車敏洙が完勝の形勢を確保してしまったのだ。その事実はすぐに検討室のすべての人に認識された。誰かが悲鳴のように叫んだ。 『車敏洙が趙治勲に続いて聶衛平まで倒すことになるというのか! このままでは富士通杯を取ってしまうぞ。』 検討室の高段者と記者たちは皆興奮した。対局場の車敏洙も興奮した。興奮していない人はただ一人。「鉄の守護神」聶衛平その人だった。
1994-12-31 | 盧承日〈바득 評論家〉
韓国棋院・貫鉄洞時代〈176〉車敏洙、ギャンブラー高手を連破…〃不可思議〃と驚愕
本文はAIによる機械翻訳です。見出しは原文(韓国語)のまま表示しています。正確な内容は原文をご確認ください。






