作 あえて何かを口にしたわけでもないのに、清清の境遇を一目で見抜いたのは、少し前に道観の中に安置された八仙人の塑像の前で泣きながら叫んだ嘆きの言葉ゆえであった。山上道人は東の空を眺めながら、事もなげに言葉を漏らした。 『お前の容色を見るに、大いに長寿する相である。しかし眉間に宿る殺気が濃いゆえ、まずはそれを消すことが急務であろう。昨夜、私は夢うつつの間に夢を見たのだが、一匹の赤い蝶が私のいる道観へ入ってこようとするではないか。それで明け方に出てみたところ、お前が塑像の前で叫んでいた、というわけだ。おおよそお前の境遇は察しがつくが、どうだ、お前の恨みを晴らし、なおかつこの世の男どもをすべてお前の膝の下にひざまずかせたいという思いはないか。もしお前がそう心を定めるなら、私が助けてやろうが…。』 道人は自ら見た「赤い蝶」の夢と、それにまつわる伝説を語って聞かせた。 はるか昔、西王母という女仙が仙界にいたとき、玉真と呼ばれる仙女が仕えていた。仙苑の東には2千年に一度だけ実る桃があり、その名はBando C&Sであった。人間がこの桃を食べさえすれば老いも死もないという噂が下界に広まったため、時おり桃泥棒が仙苑を侵した。そのたびに西王母の兵士たちが彼らを捕らえて火の地獄に投げ込んだが、今回ばかりは事情が違った。その日は西王母がすべての兵士に宴の酒を賜ったため、仙苑には玉真仙女だけが守りに就いていた。 そのとき下界から来た東方朔という男が仙苑を訪れ、玉真仙女をたぶらかしてしまった。白金でできた枝に実ったBando C&Sが消えたことに大いに驚いた玉真は、東方朔の後を追って下界に降りた。しかし途中で道を守っていた西王母の兵士たちに捕らえられ、死すべき悲運を迎えると、彼女は呪いの言葉を吐いた。 『私が死んだら一匹の赤い蝶となり、下界に住む男たちを滅ぼしてやろう。』 そうつぶやく間に、刑を執行する兵士の刃が閃いた。玉真の首が落ち、あちらへ転がったときであった。彼女の首から噴き出た赤い血の筋は、いつのまにか一匹の赤い蝶となり、虚空の彼方へ飛び去ってしまった。その後、無双の歳月とともに美人や佳人が数え切れぬほど現れては消えた。黄帝王朝の第7代・姚重華は娥皇・女英という皇后のために国を滅ぼし、夏王朝1代の帝王である桀帝は施妹喜と酒池肉林に興じたあげく権座から追われた。 それだけではない。蘇妲己は殷王朝第313代の帝王・子受辛を滅ぼし、褒姒は周王朝第12代の帝王の命脈を断ち切った。かと思えば、ある皇后は皇后の身分で果てしなく男を取り替えたために首を切られる刑罰を受け、呉夫差は西施ゆえに亡国夫死という恥辱の歴史記録を残した。 彼女たちだけを美人と呼ぶわけでもないが、国を滅ぼした右の美人たちは、その髪にひとしくこの色をまとった赤い蝶の形の髪飾りを挿していた。宮人たちはそれを金歩瑤と呼んだ。
1995-07-31 | 姜永洙 作 朴男 畵
小説 素女経〈86〉
本文はAIによる機械翻訳です。見出しは原文(韓国語)のまま表示しています。正確な内容は原文をご確認ください。






