1997-06-30

海外建設/国内建設業界の海外攻略の抱負

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◎建設受注・技術力は日進月歩、輸出不振の中で「親孝行」役割我が国の海外建設業界の最大の弱点は技術不足と低い収益性である。単純施工で外形だけを拡大してきた結果、設計・エンジニアリングなど「ソフトウエア」が立ち遅れている。施工に依存した結果、売上高は増加する一方、経常利益はなかなか伸びない。一部で我が国の海外建設を「中身のない菓子」と過小評価するのもこのためである。付加価値の高い分野は先進国に奪われ、人材や装備などのコスト負担が大きい施工分野にしがみついた結果だ。そこで第2の跳躍期を迎えた海外建設業者はいずれも、外形よりも技術力を高め収益性を改善することに主眼を置いている。まずプロジェクトを単純に請け負うのではなく、自ら企画し付加価値の高いプラント事業に関心を向ける。設計・エンジニアリングなどの能力を先進国水準に引き上げるため、売上高の1%にとどまっている技術および人材開発投資を、企業ごとに3〜4%水準へ引き上げる計画である。 ◎Daewoo Engineering & Construction/特化戦略が奏功し海外で頭角/東南アジアの水電など今年30億ドル目標 Daewoo Engineering & Construction(代表・李一鎖(イ・イルスェ))は昨年も海外で頭角を現した。26億ドルを受注する目覚ましい成長を遂げた。今年も30億ドルの受注を狙っており、すでに5月末までに17億7000万ドルを受注した。 Daewoo Engineering & Constructionの海外戦略は新国際化に要約される。 地域別・部門別に特化した戦略を立て、現地の特性に合わせて攻略するというものだ。設計と施工を一括で手掛けるターンキー方式や投資開発型工事に重点を置くのも同じ文脈である。例えば東南アジアでは水力発電所、高速道路、地下鉄など投資開発型工事に全力を挙げ、インドシナではメコン川開発事業など国際的プロジェクトに関心を寄せている。 特に最近はポーランド・ハンガリーなど東欧市場の攻略に成功し、西欧進出のための橋頭堡を築いた。 デウはすでにパキスタン高速道路工事、ラオスのダム工事、インドのコルバ発電所工事、マレーシアのプラザラキエット工事などを通じて技術力を誇示した。 新規市場の開拓にも人並み以上の投資を行っている。2000年までにアジア・中南米・東欧など海外に60の現地法人を設立し、拠点とする計画だ。 デウは今年中国に進出し、3億ドルを投資して年産240万t規模の山東セメント工場を完工する気炎を上げた。デウが100%投資したもので、中国政府が単独投資を認めた初のケースとして大きな関心を呼んだ。山東セメント工場は国内のセメント生産減少および今後の東アジア地域のセメント需要に対応するために建設したものである。デウの海外建設領域がどれほど広いかを推し量ることができる事業だ。 山東工場は中国国内の単一セメント工場としては最大規模で、今後中国に建設されるセメント工場のモデルとなるだろう。また800人余りの現地人材を雇用することで、山東省の地域経済発展にも寄与するものと期待される。 デウは1983年に完工したリビアのズリテン・セメント工場の建設・運営経験を基に、国内外のセメント設備工事に参加してきた。最近はインドネシアだけでプラント工事2件をターンキー方式で受注した。 李社長は『Daewoo Engineering & Constructionの舞台は全世界だ』とし、『海外事業の形態が多様化する中でこれに適切に対応する一方、付加価値の高い事業を積極的に開発して経常利益を最大化する』と述べた。 ◎LG建設/単純受注を脱し開発型へ転換/マーケティング能力強化と専門家育成に拍車 LG建設は今年を海外事業の新たな転換点としている。単純受注型事業から完全に脱し、技術とマーケティング能力を基盤とした開発事業中心に事業の枠組みを変えている。このため地域専門家の育成と受注能力の強化に総力を挙げている。開発事業の力量は、建設市場が爆発的に拡大している東南アジア地域に集中するという戦略だ。 こうしたLGの野心がそのまま的中した工事が、サウジアラビアのアブカイク施設近代化プロジェクトである。サウジアラビア国営石油会社アラムコのアブカイク・プラントは単一プラントとしては世界最大の原油生産および精油施設。ここの主要施設の近代化工事を1994年からLGが担うことになった。この国の国富の源泉が石油である以上、アブカイク・プラント近代化工事の重要性は絶対的であった。 総工事費3000万ドルで、コントロールおよびプロセス(PROCESS)ビル9棟と各種電気施設、土木工事から成るこの工事は、工事費規模だけを見ればさほど目立たない。しかし工事の重要性と要求された技術、そしてそれを通じた同社の成長を考慮すれば、その意味は非常に大きい。 アラムコは要求事項が厳しいことで定評があるうえ、工事の重要性から監理も徹底していた。工事自体の難しさはもちろん、50種類の報告書提出、保安維持のための全人材・装備の統制、劣悪な気候、監督官の督促などはLGを当惑させるに十分だった。こうした困難はLGが実力を一段高める土台となり、今年2月に予定の工期内に工事を終えた。これがアラムコがLGに9000万ドル規模の追加工事を任せる契機となった。 LGは東南アジアだけでなく米国、英国などでも活発な受注活動を展開している。昨年の海外建設受注額は1億3000万ドル。今年は235%増の4億3000万ドルに達する見通しだ。 ◎Ssangyong Engineering & Construction/東南アジアを拠点に開発事業へ野心/建築部門に特化しSOCなど領域拡大 インドネシア・ジャカルタ市内の「コンラッド・インターナショナルセンター」開発事業は、Ssangyong Engineering & Constructionがこの地域で推進中の代表的な開発型投資事業である。 この事業は総額6億5000万ドル規模で、サンヨンが資金調達および施工部門に参加して推進中だ。 コンラッド・インターナショナルセンターは、インドネシア最大規模の不動産開発事業であるジャカルタ市内スディルマン中心業務地区の中核部分で、13万6000坪余りの敷地にホテル・オフィス・マンション・病院・学校などからなる複合タウンとして造成される。 サンヨンは特にこの工事への参加過程で2億3270万ドルのプロジェクトファイナンスを斡旋し、従来の単純施工から脱して資本参加・資金調達などを含む企画提案型事業として推進している。 サンヨン側がこの工事を推進することになったのは、昨年グループが策定したアジア中長期経営戦略の一環である。 すでに世界最高層ホテルであるシンガポールのラッフルズシティをはじめ、サンテックシティ、インドネシア最大の単一建築物であるプラザインドネシアなどの施工を通じて蓄積した技術力を基盤に、プロジェクト工事を主力事業として育成するのがサンヨンの戦略だ。 一方サンヨンは、コンラッド・インターナショナルセンター開発事業の受注を基盤に、グループ内の系列会社と共同で持分参加を通じた開発型工事進出をさらに活発に展開する計画である。 そのため、相対的に投資型開発事業の余地が大きい東南アジア地域を拠点に、プラントなど収益性の高い事業へ継続的に進出していくとサンヨン側は説明する。 ◎ソンギョン建設/石油化学プラント分野の技術は随一/インドネシアのコンドミニアム事業を契機に建築にも照準 ソンギョン建設(社長・鄭順着(チョン・スンチャク))は石油化学プラント建設分野で国内最高の技術力を保有している。 国内最大の石油化学企業である油公のプラント建設経験を基盤としているだけに、海外でも石油化学プラント部門では国内建設業者の長兄役を果たしている。進出国も中国、タイ、クウェートなど東南アジア諸国だけでなく、ブラジル、メキシコなど中南米、ガーナなどアフリカにまで及んでいる。 ソンギョン建設は今年に入ってブラジルの石油化学プラントとインドネシアのコンドミニアム建設工事を受注した。ブラジル国営石油会社ペトロブラスが発注した触媒分解工場(8745万ドル規模)は、国内建設会社にとって不毛の地に等しい海外市場を開拓したという点で大きな意味がある。 また3550万ドルに達するインドネシアのシャングリラ・コンドミニアム工事は、ソンギョン建設が石油化学プラントではなく土木・建築分野の橋頭堡を築いた工事と評価されている。 このほかソンギョン建設は今年、▲タイのEB/SM工場(7000万ドル)▲ベトナムのハイバントンネル工事(1億ドル)▲メキシコのカデレイタ・コンプレックス(8000万ドル)など3億2000万ドル以上を海外受注目標としている。 ソンギョン建設は今後、海外建設市場の激しい競争で先行するため、アフリカや南米市場など新規市場の開拓に積極的に努める一方、発電所や港湾など大型海外土木工事の受注にも積極的に乗り出す計画だ。 鄭順着社長は『石油化学プラント建設分野では米国・日本など先進国と競争しても後れを取らない』とし、『ここに満足せず、これまで進出していない国などに積極的に進出し、脆弱だった南米の大型土木工事にも積極的に取り組む計画だ』と明らかにした。 ◎サムスン建設/台湾建設市場再進出の突破口/日本企業を退けNCCプラント受注 最近サムスン建設が台湾の「NCC(ナフサ分解工場)」プラント工事を受注したことは、個別企業だけでなく国内建設業にも一風変わった意味を持つ。 1992年の台湾との国交断絶以降、国内建設業者が5年余りぶりに初めて台湾建設市場に再進出したためである。 サムスンは台湾最大企業のフォルモサが発注したこの工事を、総額8600万ドルで日立など日本および現地業者との激しい競争の末に受注した。 NCCプラント工事は台湾・雲林県で年間45万トン規模のエチレンを精製する工事で、1998年7月完工予定である。 サムスンはNCC工事の受注を契機に、今後ターンキー方式の工事をはじめ先進企業との共同受注、プロジェクトファイナンス方式で海外事業を積極的に拡大する方針だ。 これにより海外建設受注額は昨年9億ドル水準だったものを今年は11億ドルに増やし、売上高も6億5000万ドルから8億5000万ドルへ大幅に増やした。サムスンの海外建設は、地域別・工種別に差別化された受注営業戦略に要約される。 タイの場合は土木・複合ビル工事を主力とするのをはじめ、▲マレーシアの複合ビルおよび病院工事▲シンガポールの港湾・埋め立て工事▲台湾の石油化学・発電所工事を主な攻略対象とする戦略だ。 また新規市場であるフィリピン、ベトナム、インドネシア、中国なども積極的に開拓する一方、英国など先進企業と共同でインド・ミャンマー市場などにも進出する計画である。 サムスンは特に従来の単純土木・建築から脱し、米国・ロシア・中国などで開発型投資事業の比重を高めていく方針だ。 ◎トンア建設/大水路工事で最高技術を自負/リビアを足場に米・中で成長ぶり誇示 トンア建設は単一規模では世界最大の土木事業であるリビア大水路工事を15年間遂行してきており、すでに大型灌漑水路工事の設計および施工能力では世界最高水準を保有している。 リビア大水路工事の工事金額は第1段階37億1000万ドル、第2段階61億8000万ドルなど総額98億9000万ドルに達する。これは昨年の国内建設業者の海外建設総受注額に匹敵する金額だ。 しかしトンアの海外建設は単にリビア大水路工事に限られない。 昨年だけでも1億4400万ドル規模の米ラスベガスのビレッジ・ホテル工事を受注したのをはじめ、ニューヨーク再開発プロジェクト、カリフォルニア州オレンジカウンティの住宅団地など海外建設部門で着実な成長を重ねている。 トンア建設は海外建設市場を東南アジア・米州・中国などに特化し、事業戦略を構築した。 まず東南アジア地域では開発投資型工事部門を強化する一方、米州地域では住宅・リゾートなど不動産開発に積極的に参加する方針だ。 また、まだ市場状況が不明確だと判断される中国については、発電所・港湾などの社会間接資本施設に対して長期的な投資を行うという戦略である。 国内建設業者の進出が微々たる欧州市場もトンアの主な攻略対象だ。特にロシアなど東欧地域は成長可能性が大きい市場と判断し、現地業者との連携強化を通じて長期的な受注市場として育成していく予定である。 一方トンアは従来の施工中心の建設事業から脱し、投資開発型事業も拡大する計画だ。 トンアはこのため、1994年にラオスの水力発電所工事をBOTで受注し、プロジェクトファイナンス工事のノウハウを十分に蓄積したと見ている。またプロジェクトファイナンス工事の円滑な遂行のため、今後資金調達能力を最大化する計画だと明らかにした。 ◎Hyundai Engineering & Construction/昨年32億ドル受注で業界1位/僻地・未開拓市場をブルドーザー式に攻略 Hyundai Engineering & Construction(代表・鄭夢憲(チョン・モンホン))が昨年1年間に海外で受注した工事は32億ドル規模。 国内建設業者が1年間に受注した108億ドルの30%に当たる数値である。 東南アジアをはじめ世界全域で受注し、工種も土木、プラント、通信、建築工事など多様だ。 現在遂行中の工事だけでも世界72の現場で、契約高は73億3600万ドルに達する。ヒョンデが海外建設市場の受注で首位を占めることができたのは、独自に立てた野心的な戦略が支えとなったためだ。 ヒョンデが掲げた受注戦略で最も目立つのは、受注対象地域が多様だという点である。他社が見向きもしない未開拓市場を切り開き、根を下ろすことに注力した。 まず、進出が難しく投資条件が劣っていても、長期的な視点で新市場を開拓するには未開拓市場ほど有利な場所はない。 新たな市場開拓のため世界各地に進出しているグループ会社を活用するのも、ヒョンデが誇れる戦略だ。グループ会社の海外投資事業に持分で参加したり施工を引き受けたりして、当該国の全般的な建設市場環境を把握すると同時に橋頭堡を築いているのである。 大規模発注工事の受注とともに投資開発型事業にも積極的に乗り出している。不動産開発工事の受注を拡大し、各種の工事機会を創出するという戦略だ。 また大規模プロジェクトの大部分が金融を前面に押し出した工事として推進される点から、金融斡旋能力を高め施工者金融工事を拡大している。 1994年にターンキー方式(一括受注)で受注したバングラデシュのジャムナ多目的橋梁建設工事は、ヒョンデの受注戦略を読み取れる好例である。 米国、日本など先進国の大型建設会社を退けるため、僻地に等しいバングラデシュに投資を惜しまなかった。 世界銀行、アジア開発銀行、日本の経済協力基金など海外金融が含まれた工事をヒョンデが受注したのは、未開拓市場に並々ならぬ情熱を示した結果であった。 ◎ククトン建設/外形より内実重視の受注/マレーシアKLCCビル施工で技術力認められる 創立50周年を迎えたククトン建設の今年の海外受注目標額は3億2600万ドルである。少ない額ではないが、過去50年間、土木・建築分野で国内建設業界を代表してきた企業としては決して多いとは言えない。これは「海外事業を通じた利益増大」という海外事業目標に沿ったものだ。利益もなく技術力の蓄積にも役立たない工事を外形拡大のために取るよりも、利益になる工事を手掛けるという話である。 権大旭(クォン・デウク)社長は『赤字を出す1億ドルの工事よりも、10万ドルの利益になる100万ドルの工事のほうがよい』と強調する。収益性の高い開発型プロジェクトに注力するという戦略だ。今年3月に中国・上海浦東地区で着工したツインタワーの住商複合ビル「東南花園」は1億ドル以上が投入される投資開発型プロジェクト。開放中国の最大の中心地として浮上する上海浦東地区のランドマークとして建設される。ククトンの自社事業であり、現地で低金利で資金を調達して高い収益が期待されるという点で意味が大きい。 同社は1970年代から中東やインドネシア、マレーシアなどで、その国の国家基幹産業に当たる数多くのプロジェクトを手掛けた。サウジアラビアのダーラン病院と中央銀行本店、インドネシアのアチェ緊急洪水制御工事やジャカルタのトールロード道路工事などは、現地で技術力を認められる契機となった。 昨年完工したマレーシアのKLCCビルは世界最高層建物で、ククトンの技術力を示すに十分であった。 権社長は『先進企業との戦略的提携、ターンキー能力の育成、市場の多角化などを通じて、創立50周年を迎える今年を新たな跳躍の契機とする』と述べた。

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