1997-08-30

物価まで(社説)

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困難は重なって来るものというべきか。不況の長期化、低成長、国際収支赤字の拡大、金融市場の混迷に加え、物価不安心理まで頭をもたげている。秋夕という伏兵を前にひやひやしていた時期に、最近さまざまな要因が同時に噴き出し、物価不安心理を煽っている。眠っていた物価の鼻先を突いたに等しい。 これまで物価は比較的静かであった。昨年の消費者物価は政府の管理目標線以内に収まった。今年に入っても安定基調を示し、7月の消費者物価は前年同期比3.7%上昇と、1990年代に入って最も低い上昇率となった。生活物価とは距離があるものの、指数物価としては安心してよいかと思われた。 しかし状況は変わった。政府の政策失敗が物価不安につながっているのである。金融不安を解消するため大量の資金を放出することにした。カネが出回れば、ラグを置いて物価に負担を与えることになる。また金融市場安定対策以降、為替レートが急騰し輸入物価を刺激している。 金融市場安定対策は足元の火を消すために必要な措置ではあるが、物価には病として作用するのが常である。 ここに公共料金が次々と上がるか、引き上げ待機中である。各種エネルギー価格も引き上げられる予定だ。過去の経験が示すように、公共料金は物価上昇を主導する。波及影響も小さくない。秋夕の時期はカネが多く出回る季節である。今後は大統領選挙の時期を前に、もう一段カネが放出されるだろう。 かといってカネを回収するのも容易ではない。金融不安が続く限り、通貨の吸収はより大きな災いを招きかねない。 頼れる点は内需の低迷である。不況で需要が萎縮しており、激化した競争によって価格暴騰現象は起こらないだろう。農作物の作況が良好なことや、国際原油価格の安定基調維持も物価の助けとなろう。 しかしそれも安心できず、それを政策として掲げることはなおできない。行政力にも限界があるほかない。政府が先頭に立って公共料金を引き上げながら、民間に引き上げ自制を求めるのは不合理である。従いもしない。 政府自らが腰帯を締めつつ、物価不安の導火線となった金融不安・為替不安を早急に鎮静させ、不安心理の拡散を遮断しなければならない。

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