最近、ある市中銀行が繊維産業を、衰退産業とほぼ同義の停滞産業に分類したため、繊維業界の関係者の心情を害する出来事があった。業界の強い抗議とこれに対する当該銀行の丁重な謝罪で問題は一応収まったが、しばしば飛び出す繊維衰退産業論は業界の士気と意欲を大きく損なわせる。 まず繊維産業自体が衰退産業なのか。人類が裸で暮らすようにならない限り衣服は必要であり、所得の増加と流行の変化周期の短縮に伴って需要は増え続けざるを得ない。加えて最近は医学、通信、土木、建築、宇宙航空などほぼすべての産業分野で繊維が使われないところはなく、繊維需要は永遠で無尽蔵だと言える。 それにもかかわらず、韓国のような高い水準の賃金では可能性がないとして繊維産業を放棄すべきなのか。韓国が低賃金の後発途上国に価格競争力で押され苦戦を免れていないのは事実だ。しかし韓国より賃金水準が高いイタリア、ドイツ、フランス、米国などの先進国が独自の強みを生かして世界の繊維市場で快進撃を続けているのはどう説明するのか。 韓国の繊維産業が大量クオータ保有国としてOEM(発注者商標)輸出方式に安住し、製品の高付加価値化、少量多品種生産体制への転換などを怠ってきたのも事実だ。しかし韓国には四季の気候、優秀な頭脳と手先の巧みさ、そして豊かな感性、30年余りにわたる生産および市場基盤など、他国が容易に真似できない有利な条件が満遍なく備わっている。 国家経済的にも繊維は依然として輸出の14%、雇用の17%を占める重要産業であり、外貨事情が厳しかった昨年130億ドルの貿易黒字を記録した孝行産業である。 IMF事態で凍りついた内需市場に期待をかけられない繊維業界は、腕をまくって輸出戦線に乗り出し、すでに目を見張る成果を上げている。自らの事情のために与えられた役割も果たせていない金融機関が、助けられないどころか意欲的に動き出した業界の足を引っ張るのが果たして望ましいのか、考えてみるべき問題である。
1998-04-20 | 張石煥
[ロータリー]繊維産業斜陽論 張石煥(チャン・ソクファン)<繊産連副会長>
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