1999-06-30

[経済随筆] プロとアマチュア

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崔禹錫(サムスン経済研究所所長)アインシュタイン博士は今世紀最高の物理学者であったが、音楽愛好家でもあった。とくにバイオリン演奏を好み、時間があるたびにモーツァルトのバイオリンソナタを弾いていた。 相対性理論を発表してからは学会にたびたび招かれたが、非常に内気な性格で、集まりなどで一言述べることを大きな負担に感じていた。そこで儀礼的な挨拶の言葉の代わりにバイオリン演奏で代えた。 あるとき田舎の大学に招かれ、物理学セミナーを終えて歓迎宴に出席した。有名なアインシュタイン博士を見るために多くの人々が押し寄せた。 このときもアインシュタイン博士は挨拶の代わりにバイオリンを演奏した。この光景が翌日の田舎の新聞に大きく載ったが、「アインシュタイン バイオリン演奏会 大盛況」という見出しを立て、わが村に著名なバイオリニストのアインシュタインが来たが、この方はバイオリンだけでなく物理・数学にも権威者だという云々…。 アインシュタイン博士はこの記事を見て非常に喜び、それを切り抜いておいて友人たちに自慢したという。田舎の記者はアインシュタイン博士をよく知らなかったのである。 アインシュタイン博士が世界的な名声を得てからは、音楽団体が名前を借りようと交渉したこともあったようだ。そのときアインシュタイン博士は「私は物理学は少し知っているといえるかもしれないが、音楽はまさにアマチュアであり、アマチュアがそんなことをしてはいけません」と一言で断ったという。物理学におけるアインシュタインの天才性を誰も疑うことはできないが、音楽でもそうだとは言い難い。有名なアインシュタイン博士がバイオリンを弾くというので皆が好奇心で聴くのであって、プロの技量として評価するのではないだろう。それをアインシュタイン博士はよく分かっていたのである。 しかし、そうした事実をよく知らない人があまりに多い。アマチュアが余技として行うことと、職業として行うことは違う。経営学博士だから企業経営をうまくやれると自信を持つことや、環境運動をしたから環境行政も問題ないと考えることは、アマチュア的な発想である。 プロの世界は資質と長い訓練が必要であるため、意欲と使命感でできるものではない。孫淑(ソンスク)前長官も演劇俳優としては優れたプロだが、環境行政家としてはアマチュアであるということをもう少し早く分かっていれば、あの騒動は避けられたはずだ。もはやプロの時代である。

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