政府が30日、経済社会関係閣僚会議を通じて確定した「参与政府の庶民・中産層生活安定対策」は、庶民生活の全部門を網羅するものである。主要施策だけで89件に達する。政府が経済再生が急務である状況で他分野にも資金需要が多いにもかかわらず生活安定部門に目を向けたのは、それだけ庶民生活が窮乏化した証拠である。庶民生活が改善されなければ消費不振が続き景気回復も遅れざるを得ないという危険水域に達したとの判断が、今回の対策の背景にある。 ただし庶民生活安定対策の方向性は、従来とは大きく異なる見通しである。「人気を意識したばらまき」との批判を浴びた就労事業などとは異なり、今回は環境を整備することに焦点が置かれている。資金を直接給付するよりも稼げる環境を提供するというのが対策の根幹である。今回の対策が効果を上げるには時間が必要だとの指摘も、このためである。
生活安定対策が補正予算編成と連動し、社会間接資本建設のような成長基盤拡充事業と並行して進められる場合、経済は全般的に新たな活力を得るものと期待される。しかし懐疑的な見方も少なくない。特に金融市場の安定、労使平和が前提とならない限り、補正予算の執行と生活安定対策も一時しのぎにとどまるとの懸念も出ている。政府はこれについて、庶民・中産層生活安定対策は金融市場を含むマクロ経済全般の総合対策が始まる出発点であるという意味づけをしている。今回の対策を号砲として本格的な「経済再生」に乗り出すというものだ。今回の対策の主要内容を見てみる。安定対策の核心内容は ▲雇用 ▲庶民金融の内実化 ▲教育費支援 ▲住居安定 ▲物価安定の5つの核心内容を盛り込んでいる。
◇青年および就業脆弱層の雇用安定対策=従来とは異なり、失業問題を構造的に解決するための中・長期的な対策を示したという点に意味がある。人為的な雇用創出による一時しのぎの失業対策を自制し、職業種類別の人材養成体制の構築と産業需要に合った教育の実施など、雇用インフラを構築するというのが骨子である。ただし現時点では省庁間の協議や予算配分などの具体的な日程が確定しておらず、最終的な中長期対策が出るにはさらに時間がかかる見通しである。政府は直ちに施行できる短期対策を展開しながら中長期方策を推進する計画である。
まず青年層向けの短期対策として、インターン就業支援の対象人員と業種を拡大する。今年の青少年職場体験プログラムのインターン就業対象人員を当初の9,000人から1万3,000人に増やし、対象業種も製造業、コンピューター通信業から全業種に拡大される。また1万5,000人の大学生を対象に中小ベンチャー企業の現場体験機会を提供し、理工系の大卒未就業者1,000人に研究現場および産業体での研修機会を与えることにした。
中長期対策としては、学科編成や学生の進路選択が労働市場の需要に合うように行われるよう、労働市場の展望および職業情報提供機能を強化することにした。また随時採用、経験者選好など企業の採用慣行の変化に合わせ、大学の卒業時点を弾力的に調整し、休学要件を緩和するなどの方策を教育部と共同で推進することにした。
脆弱層を支援するための対策としては、299億ウォンを投じて中高年者など8,300人に介護者やNGO支援事業などの職を提供し、企業が定年退職者に転職支援サービスを提供する場合にも奨励金を支給する方針である。特に雇用保険法施行令を改正し、企業が中高年者を新規雇用した場合に月28万ウォンずつ6カ月間支援する奨励金制度の支援対象を、現行の55歳以上から50歳以上に引き下げ、定年退職者を再雇用する場合には1年間、月30万ウォン程度の奨励金を支援する予定である。一方、政府は今後経済がさらに悪化し失業率が10%水準に上昇する場合には、公共就労や短期職業訓練など短期的な失業対策を積極的に推進する方針である。
◇庶民金融支援の内実化= ▲信用不良者の信用回復支援 ▲庶民金融に対する保護装置の整備 ▲庶民金融支援の拡大という3つの大きな柱で推進される。政府はまず、信用不良者が更生の機会を得られる信用回復支援制度(個人ワークアウト)の実効性を高めるため、債務返済期間を最長5年から8年に延長することにした。返済方法も均等償還方式に、負担が相対的に小さい割増償還方式を含めた。再起の意志と能力のある信用不良者を労働部の雇用訓練プログラムと連携させる方策も推進されている。
庶民金融の健全性を高める方策も併せて推進される。借り換え融資、すなわち以前の融資を返済するための新規融資を活性化する一方、カード利用限度を段階的に縮小することにした。特に貸金業など私金融に対する監視体制を強化したり陽性化させ、私金融利用者の被害を事前に防止する法的・制度的システムが導入される予定である。住宅資金および学資金融資も活性化される。特に韓国住宅抵当公社が設立され、本格的に最長30年単位の長期住宅金融が本格化する土壌が整えられる予定である。同公社は長期住宅債券を基に住宅金融のみならず学資金の長期融資業務も遂行し、庶民金融の幅も一層広がる見通しである。給与所得者の所得税負担を軽減するため、勤労所得控除幅も拡大される。年間給与500万〜1,500万ウォンは50%、1,500万〜3,000万ウォンは20%へとそれぞれ5%拡大する内容の所得税法改正案を年内に用意し、来年から施行することにした。金英柱(キム・ヨンジュ)財経部次官補は「全般的な金融市場の安定が庶民生活の安定に決定的に作用するという点で、庶民金融対策はもちろん、カード債問題を含む金融市場の懸案を改善し、キャッシュフローを正常化させる方策も併せて推進している」と強調した。
◇教育費支援=不動産価格の上昇や社会的な違和感などの原因が不平等な教育環境にあるとの判断に基づき、庶民・中産層に対する教育費支援が大幅に拡大される。ただし全般的な輪郭が定まっているだけで、具体的な支援対象はまだ決まっていない状態である。特に今年中に「公教育の没落、私教育の異常肥大化」問題を根源的に克服できる「私教育費軽減対策」が用意される予定である。放課後の学校施設を活用した課外需要の吸収策と、芸術体育やコンピューターなど特技・適性教育の拡大が主な内容である。今回の対策には明示されていないが、相対的に疎外された農村やソウル江北、地方都市などに外国語高校や科学高校などの特殊目的高校を設立し、地域の名門に育てる方策も長期課題として検討されている。こうした方策は教育と入試制度の根幹を変えうるという点で関心を集めている。この他、満5歳児無償教育支援の年次的拡大、幼稚園の終日クラス運営拡大、低所得層の子女教育費支援の増額なども長期課題である。
直ちに今年中には ▲満5歳児無償教育費支援率の引き上げ(18.4%→20%) ▲低所得層の中高生子女への学費支援対象の拡大(16万4,000人→22万7,000人) ▲学校給食費支援の増額(1,135億ウォン投入) ▲大学および大学院生への学資金融資対象の拡大(28万人→31万人) ▲理工系大学(院)生に対する無償奨学金および無利子支援の拡大 ▲技術系学院受講生の受講料融資などの施策が施行される。施行時期と対象の確定は下半期に予定されている。
◇住居安定=直ちに資金を投じなくとも価格上昇を抑制できる、監視を通じた仮需要抑制政策が施行される。首都圏の再建築市場、住商複合マンション、忠清圏一帯などに対する特別監視体制が、価格が安定するまで稼働される予定である。供給面では今年中に首都圏30万戸を含む50万戸の住宅が建設される。金浦と坡州の新都市候補地確定に続き、板橋新都市は今年下半期中に開発計画が確定される予定である。5年間で50万戸の賃貸住宅建設、坪当たり支援単価の現実化、低所得層が密集する老朽不良住宅地域に対する道路および上下水道の整備、老朽不良地の整備拡大なども庶民層を直接の受益対象として推進されている。
政府が住居安定のために注力しているのは金融対策である。市中の資金の流れを正常化させれば不動産価格も自然に安定し、経済システム全般の安定はもちろん庶民層の相対的剥奪感も最小化できるとの判断からである。来月中旬ごろ、株式市場への資金流入を中心とする金融市場総合対策が発表される予定である。






