「コミュニケーションと情報、商取引、エンターテインメントを網羅する総合モバイルサービスを通じて、KTFの未来10年のビジョンを作り上げたい」
趙英柱(チョ・ヨンジュ)KTF社長は最近、「2015年に1位の移動通信事業者」を達成するための道標を公開し、既存のコミュニケーションを基盤に総合モバイルサービス企業へ生まれ変わるという抱負を明らかにした。KTFが事業多角化を推進できた背景には、今年から本格化する超高速移動通信(HSDPA)サービスがある。競合他社に比べ劣悪な周波数を保有していた第2世代通信サービスとは異なり、同一の周波数帯域で競争を繰り広げるため真剣勝負ができるという自信からだ。
◇第3世代(3G)サービス育成に専念=趙英柱社長はKTFの役職員の中で3Gサービスと最も深い縁を結んでいる。1999年にKT(当時の韓国通信)に在職しながら3G移動通信サービスであるIMT-2000の事業企画団長を務め、KTFが非同期式IMT-2000の事業権を獲得するのに大きく貢献した。当時は同期式を好む声もあったが、趙社長は「非同期式でなければ未来はない」という信念を持っていた。そのため「辞表を胸に抱えて歩く悲壮な思い」で利害関係者を説得した。
2001年から3Gサービスの技術開発を担当するKTアイコムの社長を務め、2002年の日韓ワールドカップの際には世界で初めてグローバル映像通話を成功させもした。趙社長はKTFネットワーク部門長を務めながら3Gネットワークの高度化事業を推進し、現在は国際的な非同期式移動通信会社の連合体であるGSMAの理事として活動しながら、非同期式3Gサービスの普及に先頭に立っている。
このように3Gサービスとの長い縁により、趙英柱社長は通信業界でWCDMAとHSDPAに最も精通したCEOという評価を受けている。
◇1位のHSDPA、1位のKTF=趙社長は最近、社内放送を通じて全職員に送った手紙で「HSDPAで1位にならなければ、移動通信サービスで1位になることはできない」と強調した。趙社長は今年から本格化するHSDPAサービスで高い競争力を確保するため、世界市場で味方を確保することに注力している。昨年から日本のNTTドコモとともに進めてきたHSDPA事業協力が、今年から可視的な成果を出す見通しだ。またアジア太平洋の移動通信サービス連合体であるコネクサスで本格的な活動を展開する一方、GSMAを通じて世界12社の3G事業者とともに携帯電話の共同購買を推進している。
こうした国際的な協力を通じて、最大100カ国で自動ローミングサービスが実現する。またHSDPA携帯電話の価格も引き下げ、使い勝手を高める一方で負担は軽くしていく計画だ。特に超高速サービスにふさわしい高画質・大容量コンテンツを確保することで、利用者が進んで使いたくなるサービスを通じて正面勝負を仕掛ける覚悟だ。
2015年に1位の移動通信事業者へ飛躍するには、HSDPAを基盤に情報、商取引、エンターテインメントを結合させなければならない。したがって趙社長の「1位のHSDPA、1位のKTF」戦略は、今年から可視的な成果を出さなければならないという課題を抱えている。
◇業界初のデザイン経営を宣言=趙英柱社長は、移動通信業界で初めてデザイン経営を宣言するほど感性経営を重視する。KTFが昨年デザイン分野に直接投資した金額だけで100億ウォンに達するほどだ。他の関連分野まで含めれば数百億ウォンに達するほど、デザイン分野への投資を惜しまない。
趙英柱社長はイノデザインなどデザイン専門企業との提携を自ら主導するなど、デザイン経営を陣頭指揮している。
趙社長は「顧客の要求が品質と原価中心の機能的な側面から、ライフスタイルと五感の満足を重視する感性的な側面へ変わっている」とし、「KTFならではのスタイルを作らなければ1位にはなれない」と強調した。
KTFは現場職員を中心とした「デザイン・フロンティア」の構築、デザインセンターの運営などを通じて役職員の創意性を高めるとともに、現場中心のデザイン革新活動を展開している。単に製品と商品だけをデザインするのではなく、組織自体をデザインするという意志だ。
またサービス会社の限界を抜け出し、手に取れるデザイン企業としての地位を確保するため、顧客体験店舗にオレンジ色を導入した。さらに有名デザイナーが自らデザインしたファッション・ユニホームを普及させ、傘、ダイアリー、メモ用紙などをKTFが自ら開発して消費者に配っている。
◇趙英柱社長プロフィル
1956年慶尚北道星州生まれ
1973年大邱啓聖高等学校卒業
1978年
ソウル大工科大学卒業
1979年第15回技術高等考試合格
1980年
逓信部事務官
1982年
韓国通信へ転出
1994年
ソウル大大学院工学博士
1995年ミシガン州立大グローバル情報通信政策課程修了
1999年韓国通信IMT-2000事業企画団長
2001年KTアイコム代表理事
2003年
KTF副社長兼ネットワーク部門長
2005年
KTF代表理事社長
2006年GSM協会理事に選任
● CEOメッセージ
「顧客に仕える者になるには5つの徳目を備えなければならない」
挑戦・チャンピオン・責任感・品性・魅力
通信業界の最高経営者(CEO)として在職しながら、人知れず新しい肩書きを一つ作りました。まさに「CSO」です。CSOといえば普通「戦略を担う人」と思われていますが、私は違います。「従者(Servant)」という単語が入ったCSO(Chief Servant Officer・顧客に仕える者)です。CEOがまず「顧客に仕える者」として動き出してこそ、KTFの全役職員が顧客に新しい楽しさと価値を差し上げることができると信じています。
顧客に仕える者になるには5つの徳目を備えなければなりません。挑戦(Challenge)、チャンピオン(Champion)、責任感(Charge)、品性(Character)、魅力(Charm)で、いずれも英語の語根「Cha」を含んでいます。
失敗を恐れず現実に安住しない人は、常に創意的で建設的な目標に向かって努力します。自分の分野でチャンピオンになろうとする人は、少なくとも専門家という評価を得ます。自分が責任を取るという覚悟で働き、責任を取るべきときには堂々と責任を取る姿勢を持つ人は信頼を失いません。よい品性と礼儀を備えた人は、基本がきちんとした人材です。最後に、魅力のある人は人間味とユーモアを兼ね備えています。私はKTFにはこうした人材ばかりが満ちていると確信しています。
KTFは2001年のKTフリーテルとHansol M.comの合併に続き、2003年にはKTICOMと合併して誕生しました。それだけ多様な人々が集まっているという意味です。この人々が不協和音を出すのではなく、ともに集まってシナジーを出せるよう、多様なコミュニケーションの場を設けるため常に努力しています。蚕室への新社屋移転も、職員の意思疎通を強化するための決断でした。本社と実務部署が互いに理解できるきっかけになったと思います。
2004年にデザイン経営を宣言すると、多くの人がなぜ移動通信会社で「デザイン」なのかと不思議に思いました。それに対する答えは簡単です。まさに顧客が望むからです。顧客はできればすっきりした店舗でゆったりとコーヒーを楽しみながらサービスを受けたいと思っています。複雑な料金設計よりも、簡便にデザインされた料金で自分に必要なサービスを選び出したいと望んでいます。顧客が望むものをデザインすることが、KTFのデザイン経営の核心です。
2007年はKTFにとってはもちろん、私にとっても意味の深い一年になるでしょう。単に技術のよい会社ではなく、顧客の立場で顧客が望むものを提供する会社へと生まれ変わる元年になるでしょう。顧客が望む情報、顧客が望むエンターテインメントを速く簡便に届けることが、「1位の超高速移動通信(HSDPA)、1位のKTF」を達成できる道だと考えています。
● CEOが薦める一冊の本『経営・経済・人生講座45編』
「相生の知恵を発揮してこそ持続成長」
『経営・経済・人生講座45編』を書いた尹錫哲(ユン・ソクチョル)ソウル大学校経営学科教授は、「企業の生存不等式」でよく知られる韓国経営学界の巨頭であり、特異な経歴の持ち主です。独語独文科に入学した後に物理学科へ専攻を変え、続いて留学中には電気工学と経営学を学びました。そのためか、この本は多くの学問に対する知識と経験を基に人間と組織を多様な角度から展望し、私たちが備えるべき競争力を説得力をもって示しています。
特に150億年に及ぶ宇宙の歴史と5億3,000万年に達する弱肉強食の自然史の中から経営、経済、そして人生の知恵を探ろうとした点が斬新に迫ってきます。自らの生存基盤である森を食い尽くすばかりだった恐竜は消滅しましたが、昆虫は生存基盤である顕花植物のために受粉をしてやることで、昆虫も顕花植物もともに自然で最も繁栄した生物になりました。激しい企業間競争の中でも持続可能な成長を成し遂げるためには、「私が生きて、あなたが死ぬ」式の短期的な観点ではなく、消費者と顧客、協力企業と相生する知恵が必要であることを自然が教えてくれるのです。
この本は45編の講座形式になっており、読み通す負担なく1日1編ずつ読み進める楽しさがあります。そして自然と科学の興味深い事例で退屈しません。どう生きるか、どう組織を導くかと悩むすべての方にこの本を薦めます。






