黒は実利を占め、白は外勢の基盤を整えた。まだ白の外勢は完璧なものとはいえない。いつでも黒が辺に動き出せば、白がこの黒石を取れるとは想像しにくい。しかし中原の主導権を相手に与える恐れがあるため、黒は条件が熟すまではこの石を動かさずに待つだろう。
白26の挟撃を見て、検討室のコマツ9段が言った。
「挑戦者決定局を見て、ヨダ名人がヒントを得たようですね」
先に紹介した対局でサトル9段が打ったまさにその挟撃である。白32はこのように思い切り広げておくのが要領だ。後に侵攻を受けても最大限大きく地を構えてこそ、黒の実利を圧倒する巨大な宇宙流を試みることができる。
黒33が15分の熟考の末に置かれた。下辺の左側に黒の援軍ができたので、参考図1の黒1と動き出す手も今は有力だ。動けばおおよそ黒9までの進行が予想されるが、黒がよさそうだという見解が多かった。しかしチャン・シュはこのコースを保留し、33と打ち込んだ。徹底した実利作戦である。
白36では参考図2の白1と封鎖したいという立会人のオオタケ9段の指摘があった。黒2には3以下9で白が楽しいということ。
白40はあまりに足が遅く見えるという青少年棋士たちの批判があったが…。






