有利な側は苦慮する必要がないという点が囲碁の特徴である。有利な側はただ常識に忠実であればよい。しかし不利な側はあらゆる知略を絞り出して盤面を揺るがし、変数をつくらなければならない。
不利な李世ドルは黒41で奇妙な行き方を試みている。有利な崔哲瀚は白42で最も平凡な道を選んでいる。結果的に奇妙な行き方が効き目を見せることになった。黒73で白6子を大きく取り込む戦果を上げた。その過程があまりにも絶妙だった。
崔哲瀚が白66を先手として活用しようと打った時、李世ドルの読みが高性能コンピューターのように働いた。第一感は参考図1の黒1で突き出す手だった。李世ドルはその衝動を抑え、実戦譜の黒67から打つ正確な「手順の妙」を見せた。参考図1の黒1なら白2以下12で右上隅の黒が全滅である。
黒67は参考図2の白1で受けてほしいという注文の手。もし白が本当にそう受ければ黒2以下10で打つつもりだ。このコースは白の大石が横死して終わり、碁は李世ドルの見事な逆転勝ちとなるだろう。やむなく崔哲瀚は中央の白6子を放棄する妥協策に出た。残る問題は右上隅の黒の死活だが、黒がここを生かす急所はどこだろうか。






