過去数十年間、自由貿易の拡大にもかかわらず、穀物の輸出入についてはむしろ規制が強化され、最近の国際穀物価格の高騰をあおったという分析が提起された。したがって世界の穀物価格の上昇を止めるには穀物取引の自由化が必要だという主張である。しかし先進国を含む世界各国には食糧は自ら生産すべきだという農業保護主義的な色彩が強く残っており、穀物の自由貿易は依然として遠い状況だ。
30日、ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、1980年以降、サービス産業と製造業分野で世界の貿易規模は3倍(インフレ率で調整した数値基準)も増加した一方、穀物の輸出入はほとんど増加しなかった。NYTは、世界の主要国が他の産業分野と異なり穀物分野では貿易促進策を取らず、輸出入関税やクオータ、逆補助金制度などで取引を制限する措置を取ってきたと指摘した。
NYTによると、今年に入って穀物に対する輸出規制措置を取った国は世界29カ国に達した。ここにはインド、ベトナム、中国などコメの輸出を禁止した11カ国と、パキスタン、ボリビアなど小麦の輸出を禁止した15カ国が含まれた。また12カ国以上でトウモロコシの輸出を禁止し、中央アジアのカザフスタンはヒマワリの種の海外輸出を禁止した。
これにより、干ばつで穀物生産が減少した豪州や、農民のストライキで困難を経験しているアルゼンチンなどを除けば、穀物輸出国と呼べる国はタイ、ブラジル、カナダ、米国だけだと同紙は伝えた。
続けてNYTは、自国の穀物生産者を保護するために穀物の輸入を制限する国も多いと批判した。日本はコメの輸入をほぼ不可能にして自国農民を保護しており、欧州連合(EU)は牛肉と家禽類の輸入を徹底的に制限する一方、大豆の輸入は全面的に禁止している。ハイチやインドネシアでは、穀物生産をこれ以上海外に依存してはならず、可能な限り自給すべきだという主張が広がっている。
しかし、こうした保護主義的傾向が世界全体の穀物生産を縮小させ、実際に穀物が必要な地域に十分な量の穀物が供給される流れを遮断しているとの指摘が強く提起されている。むしろ自由貿易理論の特化(specialization)戦略に沿って特定の穀物生産に注力してより多くの食糧を生産し、それを貿易を通じて他国が生産した別の穀物と交換する方が、地球全体により大きな利益をもたらすということだ。
自由貿易論者である米通商代表部のスーザン・シュワブ氏は「一国の食糧安全保障のための自給自足戦略が、他国には災厄となり得る」とし、「世界のすべての国が自給自足戦略を採用すれば、世界の食糧生産は減り、飢え死にする人はさらに増えるだろう」と主張した。
世界貿易機関(WTO)のパスカル・ラミー事務局長も「地球上には豪雨や干ばつなど自然環境の制約で自ら必要な食糧を自給できない国も多い」とし、「もしエジプトが必要とするすべての穀物を自ら生産しようとすれば、ナイル川の水はほとんど枯れてしまうだろう」と述べ、自由貿易理論を擁護した。






