昨年のこの時期にアンドロイドのオペレーティングシステム(OS)をパンテックのスマートフォンの標準プラットフォームに選定し、開発を始めたことが思い出される。筆者は米国で長期間ウィンドウズモバイルを基盤としたスマートフォンを開発してきた経験があったが、アンドロイドOSの開発作業には少なからぬ困難が伴った。全体的な開発環境の変化により、基本的な開発者教育から始めなければならなかったからである。
大半の携帯電話開発者は、スマートフォンの開発も従来の一般携帯電話(フィーチャーフォン)を開発していた方式と同じであることを期待する。しかしスマートフォンの時代は開発環境・方式などあらゆる面で変わった。スマートフォンの開放的な構造は、開発者同士、あるいは以前にはなかったと言っても過言ではない開発者と消費者の間の意思疎通が可能な環境をつくり出した。かつては利用者と開発者の疎通の手段がなく、断絶した開発者本位の携帯電話を作っていたとすれば、今はまったく異なる時代が来たのである。実際に開発者の作品がアップストアのようなアプリケーション市場で他の開発者あるいは利用者のものと機能性・独創性などを比較・評価されるだけでなく、急変するプラットフォームの進化の中で世界中の開発者が互いに活発に交流し、製品開発に影響を及ぼしている。
現在のように利用者が開発者に劣らず多くの情報と経験を持ち、開発者の開発品が同じ土俵で冷静に比較される時代に、開発者はどう行動すれば生き残れるのだろうか。
すべての開発者は今より能動的に現在の構図を理解し、利用者の要求に合致する競争力を備えなければならない。競争力とは単に技術的なものだけを意味するのではない。これまでは技術的な研究開発(R&D)にのみ没頭すれば開発者としての役割を立派に果たしたと評価され得たが、今は疎通の技術、すなわち完全なコミュニケーションを志向する姿勢が最も必要である。開発者のコミュニケーション能力は、より速く利用者が望むものを把握することを可能にし、円滑な開発者間の情報交流を支える。こうした疎通の結果が集まって、より良いスマートフォン環境を構築することができる。
そのため、開発者自ら開発段階から利用者との緊密な疎通関係を構築し、開発者間のコミュニケーションを拡大する積極的な姿勢を備えれば、スマートフォンの時代は開発者にとってこの上ない機会の場となるだろう。
もちろんスマートフォン時代のコミュニケーション能力は開発者だけの問題ではない。スマートフォン環境を構成するすべての人に求められる資質でもある。互いの円滑なコミュニケーションによってより良いスマートフォン環境をつくり、進化したスマートフォンがより完全なコミュニケーション文化をつくる好循環を期待したい。






