趙吉源(チョ・キルウォン)POSTECH教授が、光を利用して素材表面から水を完全に押しのける超撥水状態や、完全に吸い込む超親水状態へと表面の特性を自在に変化させることができる高分子溶液を手に、研究員らと話している。 ハスの葉に水滴を落とすと、葉の中に染み込まずに流れ落ちる。ハスの葉は目で見ると滑らかだが、実際の表面は極めて微細な大きさの突起で覆われている。
この突起がナノサイズの撥水性(water-repellent)コーティング剤で覆われ、水滴が空気の上に浮いた状態になるのだ。こうした特徴を学術的に「ロータス効果(lotus effect)」と呼ぶ。
自然界に存在する生体材料の表面はこのように特異なナノ構造を持っており、最近はこうした生体材料のナノ表面を模倣した機能性ナノ表面製造技術に関する研究が関心を集めている。
超撥水コーティング、保護コーティングまたは接着・粘着剤コーティングのような一般的な表面コーティング技術だけでなく、液晶レンズ、乱反射コーティングをはじめとする光学フィルムのような光学素子、さらには化粧品に至るまで応用分野は多様だ。特に機能性表面の特性が製品性能に多大な影響を及ぼすディスプレーやセンサー、特殊コーティングのような先端素子にもナノ表面技術の応用可能性は大きい。
趙吉源(53)POSTECH化学工学科教授は、光を利用して素材表面の水を完全に押しのける超撥水状態や、完全に広がる超親水状態へと素材の表面特性を自在に変化させられる画期的な高分子ナノ表面を開発し、注目を集めている。高次構造を持つ表面微細構造をナノ水準で制御し、光に応じて鎖の分子構造が変化するアゾ分子の特性を組み合わせれば、素材表面の水の吸収状態を任意に調節できることを初めて解明し、ナノ素材技術および表面科学分野で多様な形態の応用可能性を提示したとの評価を受けている。
◇超親水・超撥水性を自在に調節できるナノ表面技術を開発=ハスの葉のように各種材料の表面は、水を完全に遮断する超撥水状態か、水を完全に広げる超親水状態のいずれか一つの性格を持つ。二つの性格を同時に備えたり自在に調節できる表面は、これまで開発されていなかった。
趙教授は、紫外線・可視光線と反応すると分子構造が変化するアゾベンゼンを、静電気的相互引力を利用して作ったナノ構造表面に導入し、超撥水状態と超親水状態を自在に調節できる新たな表面を作ることに成功した。
趙教授が開発した表面は、最初は超撥水状態だが光を当てると超親水に変わる。この技術の核心はナノ構造表面に塗る溶液である。この溶液はフッ素を含有したアゾベンゼン化合物を合成したものだ。合成されたアゾベンゼン分子は末端にフッ素が置換されており、ナノ構造表面に塗った際にフッ素の低い表面エネルギーによって水に対する反発力を極大化できる。
正電荷を帯びたポリアリルアミン塩酸塩(Poly allylamine hydrochloride)電解質高分子と、負電荷を帯びたシリカナノ粒子を静電気的相互引力を利用した自己組織化方法で作ったナノ構造表面に、合成したアゾベンゼン分子を塗った後に光を当てると、表面の性質が超撥水・超親水へと極めて速く変わる。
趙教授は「今回開発したスマート表面は、アゾベンゼン分子の末端にあるフッ素が表面特性に影響を及ぼし、水に対する表面の接触角が150度を超えて水滴が容易に付かない超撥水の特性を示すようになる」とし、「ここに紫外線を当てるとアゾベンゼン分子の形態が変わり、素材表面の毛細管現象が極大化して超親水の特性を示すようになる」と説明した。
◇光学用フィルム、建物の内外装材など応用分野は多様=趙教授が開発した表面製造技術を使えば、従来は表面特性を超撥水性から超親水性に変化させるのに3時間以上かかっていたのに比べ、わずか3分以内に特性変化を起こすことができる。特にこうした変化が可逆的であるため、ナノ素子の性能向上に大きく寄与すると期待される。さらにレイヤー・バイ・レイヤー(layer-by-layer)自己組織化法で多様な表面に容易に適用可能なナノ構造を作れることも長所だ。
この技術が商用化されれば、マイクロ流体機器、光学機器、バイオセンサー、透過膜などをはじめ、手術用医療機器、高性能ディスプレーのような先端機器の機能性表面など産業全般に適用されると期待される。
趙教授は「レーザー手術装備のような医療用施術機器に湿気が付くのを防いで手術の副作用を最小化でき、ナノ構造表面の自己浄化効果を利用して洗剤なしで建物の外壁や浴槽などを速く手軽に清掃できる」とし、「建物の内外装材や自動車の車体鋼板・ガラス、光学用フィルムなど応用分野は無限だ」と語った。
こうした研究結果は、化学分野の世界的権威誌である「米国化学会誌」に2006年10月に発表されたのに続き、英国王立化学会誌「ケミストリー・ワールド」と光学専門誌「フォトニクス・スペクトラ(Photonics Spectra)」に注目される研究技術として紹介された。2008年には世界的な科学雑誌「サイエンティフィック・アメリカン(Scientific American)」に主要記事として掲載された。
趙教授は、外部刺激に反応するスマート表面製造技術の開発をはじめ、直近3年間に素材表面および界面分野で計58編の論文を国際学術誌に発表するなど、世界のナノ素材表面科学分野の研究を主導している。






