今年は安重根義士の殉国100周年、光復軍創軍70周年、朝鮮戦争勃発60周年、4・19民主化革命50周年、光州民主化運動30周年など、大小の出来事が起きた節目の年である。したがって政府は莫大な予算を投じて多様な行事の準備を計画している。わが国が自由と平和・民主主義を守ることができたのは、これらの出来事に加わった殉国先烈と参戦勇士たちの崇高な犠牲精神があったからである。
しかし年初から国内では「世宗市問題」で国論分裂の兆しが見えたかと思えば、続いて北朝鮮当局の破廉恥な対南非難中傷とともに金剛山観光地区の財産没収などの措置が一つずつ具体化し、南北関係の硬直した局面が現れた。
6者協議再開の動力を喪失
まさにこうした中、3月26日に西海の延坪島近海で哨戒艦「天安艦」が沈没する不祥事が発生し、血気盛んな青年を含むわが海軍将兵46人が「不帰の客」となった。
李明博大統領は戦争記念館で24日、対国民談話を通じて天安艦沈没事件を「北朝鮮の軍事挑発」と公式に規定し、「北朝鮮の行為に対して相当な代価を払うことになるだろう」と述べた。続いて李大統領は「開城工業団地を除く南北経済交流を中断させ、北朝鮮船舶のわが海域通過も禁止し、領土を武力侵攻するならば自衛権を発動する。北朝鮮が国連憲章と休戦協定・南北基本合意書を重大に違反した平和破壊行為については国連安保理に付託して責任を問う」と明らかにした。
これに対し北朝鮮の朝鮮中央通信は25日、天安艦事態に関する李大統領の対国民談話と国防・統一・外交3部長官の合同記者会見の内容に言及しながら、「いかなる懲罰と報復・制裁に対しても全面戦争を含む強硬措置で対処する」と威嚇した。
クリントン米国務長官は25日に李大統領を訪問し、韓米連携は確固であり、北朝鮮政権に取り返しのつかない大きな打撃を与える方策を探っていると述べた。また温家宝中国首相も28日に韓国を訪問し、「韓国の立場を十分に理解している」と述べた。
わが政府は天安艦沈没事件について、すでに30余カ国に協調と支持を要請するなど国際的制裁に踏み込んだ。米国とインド、欧州連合(EU)を含む28カ国がわが政府の調査結果と措置に全面的な支持を送ったり、北朝鮮を糾弾する声明を出した。
北朝鮮の天安艦への魚雷攻撃がもたらした事件は、南北関係だけに影響を及ぼすものではない。北朝鮮の魚雷は、これまで6者協議に集約されてきた米国と中国の対朝鮮半島戦略の共通基盤を壊してしまった。直ちに北朝鮮核問題の解決に向けた多国間協議の枠組みである6者協議は再開の動力を失っている。朝鮮半島に新冷戦時代が長期化すれば、その被害は南北の同胞すべてが受けることになる。天安艦以前と以後で韓国の安保のパラダイムが変わるかもしれない。天安艦事件を契機に朝鮮半島情勢が冷戦時代に戻るかもしれないのである。朝鮮半島情勢の天気図は、「天安艦外交」の行方と北朝鮮の再挑発の可能性、米中間の戦略的利害が複雑に絡み合い、まさに予測不可能な状態に入りつつある。
天安艦を砲撃・沈没させた北朝鮮は、南北関係を新冷戦時代に戻す愚を犯した。今年初めまで李明博政府は南北首脳会談を準備していた。しかし北の魚雷によって南北関係を正反対の方向へ追い込んでしまった。天安艦事件はわれわれの安保体制を全面的に再検討する契機となるだけでなく、南北関係全般にも大きな影響を及ぼすと予測される。
このような状況で今われわれがすべきことは、現在の安保上の非常事態を乗り越えるために国論を結集することである。対北制裁を推進する過程で一部軍事衝突が発生することもあるだろう。時には大小の費用と代価を払わなければならないかもしれない。そうであればこそ、全国民が一つの心で耐えられなければならない。
与野を問わず国論結集が必要な時
政界も党派の利益を超えて一つの声を出し、率先して国の中心を正さなければならない。「安保に与野の区別はない」。地方選挙での勝利がいかに重要であっても、天安艦事件を政略的に利用してはならない。なぜなら神聖な国防の義務を遂行していた46人の勇士が敵の軍事挑発によって犠牲となった国家的非常事態だからである。国家的危機状況における与野の分裂と対立は、かえって北朝鮮の挑発をあおる可能性があることを知るべきである。
天安艦沈没事件が北朝鮮軍による軍事挑発であることが明白になった以上、政府の対北制裁とともに国会は与野の合意で対北糾弾声明を出すなど、全国民の意志を一つに結集させる成熟した政治力を発揮してほしい。政府と軍も天安艦事件を他山の石として安保意識と備えの態勢を再点検しつつ、天安艦46勇士の犠牲を契機に護国英霊に対する礼遇の問題も再調整しなければならない。適切な報勲の恩恵が保障されなければ、国家は国民に愛国心を期待できないからである。






