「人間には体温がある。喜び、悲しみ、尊敬、憎悪、嫉妬、熱意、反発といった様々な感情が混ざり合って人間の体温となる。(中略)直接会って理解し、互いの体温を感じなければ、良い人間関係を維持することはできない」
日本で「経営の神様」と崇められる松下幸之助は、小学校中退の学歴で他家の奉公から社会生活を始め、現在「パナソニック(Panasonic)」として知られる世界的な家電王国・松下電器を設立した企業家である。彼は「人間尊重」の経営理念をもとに、松下電器を年間売上高5兆円以上、国内外の関係会社570社、社員19万人を抱える世界的な大企業へと成長させた。
本書は、松下幸之助を22年間補佐した江口克彦が、これまで出版された松下幸之助の著書の中から「人間尊重」と「個人の豊かな人生」というテーマに関わる部分を選び集めた格言集である。本書には、人間尊重の理念をもとに経営を展開した松下の思想と人生の姿勢についての短い文章135編がびっしりと収められている。
松下電器の成功には、創業者・松下幸之助の人間観が大きく作用した。松下経営の出発点は常に人間であり、人間を無限の価値を持つ絶対的な存在として認識していた。彼はどんな人であれ、地位、立場、見た目に関係なく偉大な潜在能力があると考えていたため、誰と会っても相手を無視したり見下したりする態度を取ったことがなかったという。こうした人間尊重の思想のおかげで、松下は多くの人々に感動を与える経営を展開できたというのが著者の説明だ。
小学校中退という学歴で大企業の企業家となった彼は、前向きな人生の態度を強調した。彼は「人生の90%が定められた運命であるなら、残る人生の10%は自らの意志と努力で切り開くことができる」とし、「自分に起こった出来事を運が良かったと考え、それを繰り返していけば自分の運が強くなり、幸運の主人公になれる」と助言する。また「サービスのない商売はもはや商売とは言えない」とし、「サービスは義務ではなく、相手の喜びに自分も喜びを感じる自然な姿である」と説明する。
本書はこのほかにも「真の幸福は行動から来る」「充実した人生を生きるには『志』を立てなければならない」「確信ある態度は意欲を呼び起こし、忍耐心を持たせる」「心を明るくし、はっきりとした夢を持って人生を歩む限り、年齢に関係なく常に青春である」といった格言を通じて、人間を尊重し豊かな人生を享受した松下の生き方を伝える。1万2000ウォン。






