柳鍾一(ユ・ジョンイル、中央)民主統合党経済民主化特委委員長が31日、国会で開かれた懇談会に出席し、非正規職制度の改善方策について発言している。/高永権(コ・ヨングォン)記者
与野党政界の政策対決が、今回は労働関連政策に飛び火した。
政界が最近、財閥改革を共通の話題として掲げたのに続き、今回は非正規職問題でぶつかった格好だ。今年の総選挙・大統領選をにらんで発表されているこうした政策は、財政事情など国内経済状況や企業の事情を考慮せずに乱発されており、票を意識したポピュリズム的行動と見ることができるとの指摘も出ている。
◇「企業フレンドリー」より「雇用フレンドリー」を掲げる民主党=民主統合党は31日、国会で記者懇談会を開き、4・11総選挙を控えた労働政策公約を発表した。この日、民主党が示した資料には「雇用フレンドリー(雇用親和)」というモットーが付いた。李明博大統領が在任初期に強調した「企業フレンドリー」を直接狙い、現李明博政権の親企業路線と対立軸を立てるという意志と読める。
民主党の非正規職関連公約は、まず企業が非正規職を採用する際、雇用の不安定に伴う費用を雇用安定手当として追加で支給させる計画だ。「同一労働同一賃金」原則を実現するとした場合、雇用安定手当を追加で受け取る非正規職労働者の賃金が正規職より高くなるようにするというものだ。昨年11月に党内の経済民主化特委が発表した中核政策課題では、非正規職の賃金目標値を正規職の110%と具体化もした。しかしこの日発表された対策では、現在正規職の50%にとどまっている非正規職の賃金をすぐに2倍以上に引き上げることはできないため、まず民主党は2017年までに正規職の80%水準まで引き上げる方針だ。
また、期間制および短時間労働者、派遣労働者などが差別の是正を求められるようにした現行法律も、申請主体を当事者だけでなく所属労働組合や労働者代表、上級団体へ拡大することにした。申請期間および差別判断の比較対象も広げるようにした。法的に非正規職に対する差別を制限し、経済的にも負担を加重させることで非正規職から正規職への転換を誘導するというのが、民主党の非正規職政策の核心といえる。
李用燁(イ・ヨンソプ)民主党政策委議長は「韓国経済の最大の課題は雇用創出であり、これが最高の福祉政策であり質の良い成長政策だ」とし、「雇用をマクロ政策の最優先に据える」と述べた。
◇ハンナラ党、政府・公企業9万人の正規職化を推進=ハンナラ党もこれまで、非正規職を雇用確保の観点から「やむを得ない側面がある」との認識の下で存在を認める代わりに、正規職との差別を縮小することに重点を置いてきた。今回の総選挙を控え、こうした「差別解消」政策を加速させている。
現在ハンナラ党は、党政策委傘下の選挙公約団の金成泰(キム・ソンテ)議員を中心に、非正規職も正規職のように成果給など基本賃金以外の給与を受け取る方策を推進中だ。また党政府は、政府省庁と公企業、公団、教育機関の非正規職9万人を無期契約職に転換し、賞与金と福祉ポイントを正規職に準じて支給する優遇策を議論している。
さらに昨年、党政府が合意した非正規職対策を見ると、事業主が労働者を質の低い非正規職の一つである社内下請けに転換する場合、労使協議会の協議を経るようにして「参入のハードル」を高め、今年からは事業場で労働者の違法派遣が確認された場合、派遣労働者を事業主が直接雇用するよう義務を課す法案を施行する予定だ。
◇財政方策、企業の事情は考慮していない=非正規職問題は富の二極化を深刻化させ社会葛藤を煽るという点で、韓国社会が解決すべき課題であることは明らかだ。ただ総選挙を控えて誰もが打ち出す出血競争で、財政負担や企業の事情など現在の条件を考慮していないという懸念が提起される。
まず民主党が示した案を見ると、▦正規職転換に伴う税制支援 ▦公共部門改革を通じた雇用創出 などで追加の税金が必要な部分が多い。また企業には ▦非正規職に対する雇用安定手当の支給 ▦正規職転換に伴う追加費用の支出 ▦労働の硬直性強化による経済的・社会的費用 など負担を負わせる内容もある。
しかし、これを補完するための財政計画がなく、企業の現在の事情を考慮していない側面もあるため、毎度国内の経済事情を無視して票だけを意識した政策の乱発だという批判が出ている。
財界の関係者は「非正規職の賃金は勤続年数や職務能力など人的属性を考慮すれば、すでに正規職賃金の90%を受け取っている」とし、「(民主党が示した)非正規職の賃金を正規職の80%まで引き上げるというのは、むしろ同一賃金・同一労働の原則に違反するのはもちろん、正規職に対する逆差別の問題も生じ得る」と指摘した。
ハンナラ党の非正規職論議も、非正規職の解決策を議論する組織が2008年以降1年に2回のペースで登場しては消えるなど、多分に総選挙・大統領選をにらんだ公約の乱発にすぎないという批判が絶えず出ている。






