昨年の1人当たり国民総所得(GNI)が2万2,489ドルとなり、過去最高を記録した。これは2010年に続き2年連続で2万ドルを超えたものであり、韓国がついに国民所得2万ドル時代に定着したのではないかとの期待を抱かせる。それでも安心しきれないのは、内実に影の差す部分が多いからである。外形は良く見えるが、中身は不安だ。
昨年の国民所得の増加は為替変動の恩恵を大きく受けた。ドルに対するウォン価値がこの1年間で4.2%(年平均基準)上昇し、数値上の所得が自動的に上がる錯視効果である。そのため韓国銀行が発表した2011年の国民経済計算を見ると、名目国民所得は前年比9.3%も上昇した。
しかし物価上昇などを踏まえ実際の購買力を示す実質GNIを見ると、昨年は前年比わずか1.5%の増加にとどまった。これは直近3年間で最低の伸び率であり、昨年の実質経済成長率3.6%を大きく下回る水準である。昨年の実質成長率が前年比でほぼ半減した状況で、実質国民所得の伸び率はさらにその半分であり、成長の効率性が大きく低下した。
所得の伸びが経済成長率に追いつかなかったのは、国際原油価格の急騰や半導体価格の下落といった対外交易条件が悪化したためだが、根本的には韓国の経済構造に問題がある。輸出と内需の間の不均衡成長の溝が深すぎるのだ。こうした構造では、いくら輸出が好調でも雇用創出と所得増大の効果は半減する。さらに潜在成長率が次第に低下しており、低所得・低消費・低生産へとつながる悪循環が起こりうる。
低成長が何よりも問題だが、たとえ成長しても国民所得の増加にうまくつながらない歪み現象が構造的に固定化しないかが心配である。経済のボリューム自体が拡大しても、国民の懐具合がさほど改善されない成長は、数値がいくら高くても意味がない。だからこそ政府が経済状況が好転していると声高に言っても、大半の国民は冷ややかなのだ。指標景気と体感景気の乖離が広がれば、経済社会的に多くの問題を生み出す。
要するに、内需と輸出のバランスの取れた成長が最優先課題とならなければならない。内需を支えるには企業投資が重要であるにもかかわらず、政界の反企業感情と福祉ポピュリズム競争は次第に激しくなっており、もどかしい限りである。






