所得税の課税最低限(免税点)の調整の是非に利害が絡むのは低所得層だけではない。中産層はもちろん、高所得層までドミノのように税負担の変化を受けることになる。
政府が毎年支出しなければならない財政規模は増えており支出を減らすことはできず、誰かが免税の恩恵を受けるなら、他の誰かが代わりにその負担を担わなければならないためだ。
8月に国会へ2012年税制改正案を提出することとし、最近、所得税の免税点調整問題を検討中の韓国企画財政部が抱えるジレンマも、まさにこうした文脈で理解される。
財政部の基本的な立場は、不要不急の非課税・減免は構造調整し、これによって確保された税源は本当に必要なところに執行するというものだ。
昨年下半期に政府が国会に提出した租税支出予算書によると、今年の所得税で各種控除・非課税などを通じて行われる租税減免の総額は16兆ウォン台で、今年の国税減免額全体の51%台に達する。したがって、こうした租税減免を大きく減らすことができれば、政府の財政にも一段と余裕が生まれる。
しかし個別の減免項目を見ると、どれ一つ除外したり縮小したりすることは容易ではない。
差し当たり勤労所得控除だけでも、免税点を下げるために大幅に縮小すれば、勤労意欲を損なうという反発にぶつかりかねない。もちろん勤労所得控除の全体規模をおおむね維持しつつ、総給与の項目別控除比重を調節する方法も考えられる。
しかしこれは、まさに所得水準によって階層間の対立を招きかねない事案だ。財政部の幹部は「今、38%の所得税最高税率が適用される納税者は、その他の地方税や各種社会保険料まで考慮すると実質税率が50%に迫る」とし、「低所得層を助けるとして、ただでも税負担の大きい高所得層の税制恩恵をさらに減らせば、彼らの反発は相当なものになる」と苦悩を吐露した。逆に免税点を下げて低所得層の中からも納税能力のある国民を掘り起こすことも、野党側の反発を招く可能性が濃厚だ。
こうした中、年末に大統領選挙を控えている点は税務当局の大きな負担だ。票を得ようとする政治家の特性上、与野党を問わず税の控除恩恵を増やそうという声が国会で相次ぐことになるが、果たして非課税・減免の縮小が可能なのかということだ。
このため関係当局の一角では、政府の原案通過は期待し難いというため息がすでに聞かれる。
学界では、このように政局が混乱するほど、税制改正案は階層中立的に方向を定めることが望ましいという声も出ている。






