南北朝鮮を取り巻く米国・中国・日本3カ国の計算が複雑に動いている。米国は韓国をミサイル防衛(MD)体系に引き込むため、高高度ミサイル防衛(THAAD)体系の韓国配備説まで流し、圧力の水準を高めている。日本と北朝鮮は29日、拉致被害者の再調査と対北朝鮮制裁措置の一部解除の原則で合意し、韓米中3カ国を困惑させた。MD参加は韓中関係に、日朝合意は北朝鮮核抑止のための韓米中日の協調体制に亀裂をもたらしかねない点で、いずれも軽く見ることはできない問題である。
日朝合意は基本的に、強制的に連れ去られた日本人被害者に対する調査と生存者送還という人道的次元の問題だ。しかし過去史ないし北朝鮮核問題でそれぞれ孤立と経済制裁を受けてきた日本と北朝鮮の和解は、韓米中日4カ国の北朝鮮核抑止の構図を揺るがしかねない出来事である。日本は北朝鮮の第1次・第2次核実験と天安艦沈没事件が起きると、北朝鮮製品の輸入と北朝鮮船舶の入港、日本製品の北朝鮮輸出を禁止し、在日朝鮮人の対北朝鮮送金限度を縮小(1000万→300万円)するなど制裁の水準を高めてきた。こうした報復措置が解かれれば、国連の対北朝鮮制裁で完全に塞がれていた北朝鮮の資金源に息がつけるようになる。
波紋はここで止まらない。日朝合意が韓中両国に対する政治・外交的な足並みの乱れであり、報復的な側面を帯びているためだ。朴槿恵政権は、孤立化を通じた北朝鮮核問題の解決に固執してきた米国の対北朝鮮抑止戦略に過度に依存したため、北朝鮮の変化を引き出せるだけの有力なてこがない状況にある。一方、日本と北朝鮮は今回の和解によって韓中両国を牽制し、6カ国協議などで各自の値打ちを高められるカードを手にした。拉致被害者の再調査および送還問題が成果を上げた場合、集団的自衛権問題などで人気が落ちた安倍晋三首相の長期政権と改憲推進の足場を用意できるという点も懸念される。
米国のMD参加要求も同様にやりにくい。戦時作戦統制権の移管再延期とのビッグディール説が広がっている状況であり、中国側も敏感な反応を示している。秦剛外務省報道官は「地域の安定と戦略的均衡に利益にならない」と反対の意思を表明し、中国の官営メディアまで「最も速く発展している中国との関係を犠牲にすることになる」と警告した。
朝鮮半島情勢がこのように揺れているにもかかわらず、北朝鮮核問題と南北関係は一歩も進めていない。こうした状況で周辺の大国すべてが韓国に対し選択を求める様相だ。それだけに韓国外交はしっかりと重心を取る必要がある。そして冷静に戦略的利益を交換していかなければならない。うかつに揺らげば孤立するか、大国の争いに巻き込まれて損をする立場になりかねない。外交原則と賢明な振る舞いが同時に求められる時点である。






