国家や政府はどのように運営されるのか。国民が納める税金によってである。税金で国土防衛を担う軍隊や治安のための警察組織を維持し、経済発展のために各種の社会的生産基盤(インフラストラクチャー)を構築する。天文学的規模の福祉予算はもちろん、公務員の賃金もまた租税収入で賄う。
では税金はどこから出るのか。労働者の賃金から所得税を徴収し、国民の消費生活に付加価値税を課す。企業の営業利益から法人税を徴収することもある。ならば国民の所得はどこから出るのか。規模が大きいか小さいかにかかわらず企業を経営して利潤を得るか、あるいは企業の労働者として働き一定の賃金を受け取って所得とする。この全ての過程が結局は企業活動へと収斂する。
話の結論はこうだ。企業が存在することで企業や個人の所得が発生し、この所得の一部が税金という名で国家運営の財源となるのである。企業がなければ国が正常に機能し得ないことを示す部分だ。
今や特定の企業がどの国に進出し、どこに工場を建てるのかは、先進国・後進国を問わずどこでも重要なニュースとして扱われる。どの国でも雇用創出が至上課題であり、その絶対的な役割を企業が担っているからだ。もはや企業の国籍は重要ではない。各国が国内外の企業を区別せず、企業しやすい環境をつくることに心血を注ぐ理由である。
企業政策に関する限り、不幸にも韓国はグローバル社会の流れに逆行する兆しが鮮明だ。いつからか企業の投資の動きが鈍化しており、企業は「コリア・エクソダス」に目を向ける雰囲気である。すでに海外へ出た企業は国内に戻る考えがない。むしろ海外生産拠点をさらに拡大し、あるいは新設するという企業だけが増えている。
ただでさえ成長エンジンが冷え込み長期低成長構造に陥りつつあるわが経済が、1990年代以降の日本経済に見られるように「空洞化」という悪材料に直面しているのである。企業投資が海外にのみ集中すれば、国内の雇用創出は遅れ、わが経済は成長潜在力を失うことになる。
なぜこうなったのか。いくつかの要因を指摘できる。過度な企業規制と硬直的な労使関係が企業を国外へ追い出す最も重要な要因だ。高い生産コストも企業を海外へ押し出す触媒となっている。そうした状況で世界各国は税制優遇を超え、用地提供、豊富な労働力と安い人件費、市場アクセスの強化などを武器に競って企業を誘致している。いや、奪い取っているという表現の方がふさわしい。
サムスン電子や現代・起亜自動車など相当数の大企業はすでに重心を海外生産へ移した状態だ。企業の海外移転は飽和状態の国内市場を抜け出して成長潜在力を高める次元と解釈することもできようが、硬直的な企業環境が彼らを国外へ追い出しているのではないかと真剣に振り返るべき時点である。
一般国民であれ政府であれ、混同してはならないことがある。成長の主体は政府ではなく企業だ。企業が動かなければ政府が独りで乗り出しても何の経済的成果も得られない。政府としてはまず何よりも、企業が何を望み、どのような経営環境を求めているのかについての理解が必要だ。
政治が権力欲によって動くように、企業は利潤動機によって動くものである。ならば政府の役割は企業の利潤動機を刺激することに集中されるべきだ。投資収益に対する確信を植え付けるためにも、企業活動を妨げる各種の政府規制を果敢に撤廃し、わが社会で不必要に拡散している反企業感情を率先して遮断する必要がある。
わが現実はどうか。今年3月、朴槿恵(パク・クネ)大統領は「規制はがんの塊だ」として規制との戦争を宣言した。企業人を青瓦台に招いて徹底討論も行った。しかし規制改革の統括機構である首相室は、4カ月余りでようやく規制調整室長を見つけたと発表する程度だ。同じく規制撤廃を公約に掲げている英国では、2月から規制リスト3,095件を定め、現在までにすでに800余りの項目を撤廃したという。国民の誰もが容易に確認できるよう、進捗状況を毎日インターネットサイトで公開している。
労働イシューもまた国内企業を締めつける主要な要因の一つだ。通常賃金、労働時間短縮、定年延長など山積した労働イシューが「企業の生存を脅かす水準に達した(朴容晩(パク・ヨンマン)大韓商工会議所会長)」。それにもかかわらず労使政は依然として同席できていない。財界リーダーらによれば、韓国経済に残されたゴールデンタイムは長く見ても2年余りだという。遅らせる時間はない。政府と企業経営者、労働者すべての大妥協が切迫した状況である。
反企業感情と規制が続く限り、企業活動は萎縮し、それに伴い雇用は海外へ去るしかない。逆に企業の利潤追求活動を保障し刺激するほど雇用は増え、社会は経済的豊かさを享受することになる。これこそが企業の社会的貢献である。企業が興ってこそ、はじめて国が正しく立つことができるのだ。






