国会は30日、本会議を開き韓中自由貿易協定(FTA)批准同意案を可決した。6月に批准同意案が国会に送られてから5カ月ぶりである。与野党はこれまで政争に埋没し、韓中FTAに関する建設的な議論さえできないまま、土壇場で世論の圧力に押されて処理した。とくに野党が農水産業の保護対策づくりを口実に立法上の要望を絡め、最後まで足を引っ張ったことは恥ずべきことである。非常識と強引さだけで終わったのでもない。与野政協議体が韓中FTAの被害対策として合意した「農漁民支援基金1兆ウォンの造成」は、批准同意案の通過に固執するなかで誤って生み出された怪物に等しいからである。
われわれはこれまで、ウルグアイ・ラウンド(UR)交渉やFTA締結など対外開放措置を取るたびに農業補助金を増やしてきた。農村経済研究院によると、UR妥結でコメ市場開放に合意した後、1995年から2011年までに185兆ウォンに達する農業補助金を注ぎ込んだ。今年までを計算すれば200兆ウォンを超えると推定される。それにもかかわらず農村の競争力はまったく改善されていない。財政依存度だけを高める補助金政策では農業競争力を高められないことが明白になったのである。それでもまた企業から金を集めて基金を造成するというのは、国民精神をむしばむポピュリズムにすぎない。
基金造成の方法論もきわめて曖昧である。韓中FTAの施行で受益者となる企業に金を出せというものだが、どの企業がどれだけ恩恵を受けるのか計算できない。同様に、どの農家がどれだけ被害を受けるのかも計算は不可能である。世界が市場を開放して交易を増やそうというFTAの目的にも合わず、ただ手軽に企業の腕をねじり、農民の反発をなだめようという浅知恵にすぎない。韓国の農業が立ち遅れから抜け出せないまま、補助金頼みや敗北主義から脱却できない背景には、政界の過ちも同じくらい大きい。韓国農業はもはや放置し難い状況を迎えている。与野政は無理のある基金造成の代わりに、農業競争力を育てる抜本的な対策を改めて用意してほしい。






