為替が上がっても輸出改善効果なし… 外国人資金流出の副作用のみ
経常黒字1000億ドルでも為替の上昇基調が持続
軽率な介入なら「最後の砦」の外貨準備が減少
中国の両会・ECB会議など控え方向性見通せず
当局の微調整も不安醸成の懸念で政策に限界
最近の急激なウォン・ドル為替レートの上昇で、外国為替当局の悩みが深まっている。
先週末に出た米国の昨年10~12月期の成長率指標が暫定値を大きく上回ったことが示されると、29日のソウル外国為替市場でウォン・ドル為替レートは一時1ドル=1244ウォン70銭まで急騰した。
ウォン・ドル為替レートが1240ウォン台を超えたのは2010年6月11日(1246ウォン10銭)以来、5年8カ月ぶりである。1240ウォンは当局が「偏り現象」を防ぐための1次阻止線とみなされている。19日にも為替が1240ウォンの目前まで急激に上がると、当局は1年半ぶりに口頭介入を実施し、すぐ翌営業日には劉一鎬(ユ・イルホ)副総理兼韓国企画財政部長官が「為替に急激な変化があれば迅速・断固として対応する」と述べた。
この日も外国為替当局が微調整(スムージングオペレーション)に乗り出し、終値は1240ウォンを下回ったが、当局の介入だけで為替の趨勢を変えるのは難しいだろうというのが市場の反応だ。複数の外国為替市場ディーラーは「午前中に当局の微調整があり、月末を迎えて輸出企業が保有するドルを大量に市場に放出したことで為替が下落した」とし、「当局と市場の間で1240ウォン台をめぐる綱引きが続いている格好だ」と雰囲気を伝えた。
市場はおおむねウォン・ドル為替の上昇に重きを置いている。国際原油価格の下落と中国発の衝撃、欧州銀行の健全性悪化などの影響が複合的に作用し、国際金融市場が連日揺れ、安全資産の選好現象が浮き彫りになっているためだ。
新興国の通貨価値が全般的に弱含み、代表的な安全資産とされる円も強含んでいる。
最近は英国の欧州連合(EU)離脱を意味するいわゆるブレグジット(Brexit)への懸念が、安全資産選好現象をさらに煽っている。韓国は経常収支黒字が1000億ドル(2015年基準)に達し、経済のファンダメンタルズも堅調だという評価が出ているが、世界的な金融市場の不安から抜け出すことは難しい。また、北朝鮮の長距離ロケット発射実験以降に高まった地政学的リスクも、ウォン・ドル為替レートを押し上げる要因として作用している。
また、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会議をはじめ、中国・EU・日本など主要国の通貨政策決定会議が続くため、いつにも増して外国為替市場の変動性が高まるとみられる。
李昌善(イ・チャンソン)LG経済研究院首席研究委員は「ドル高に加え、韓国の追加利下げをめぐる期待感が作用し、ウォン安心理がオフショア側で強く形成されている」とし、「当初は1200ウォン台半ばを予想していたが、すでにそこまで来た状態で、最高値の期待水準は上がり続けるだろう」と述べた。市場では1250ウォンが再び抵抗線を形成し、ここが突破されれば1270ウォンまで行くという観測が出ている。
スピードも問題である。今年に入り、ウォンはインド・ルピーと並んで最も大きく切り下がった。
ウォンは昨年末比で5.31%切り下がった。同期間に人民元は0.73%、フィリピン・ペソは1.33%、インド・ルピーは3.51%、台湾ドルは0.82%、香港ドルは0.33%切り下がった。一方、タイ・バーツは0.81%、シンガポールドルは0.65%、マレーシア・リンギは1.78%、インドネシア・ルピアは2.74%切り上がった。
外国為替当局の悩みは深まっている。まず、ウォンが弱含んでいるものの、輸出増加など肯定的な効果が現れていないためだ。米国のベネット・ハッチ・カーパー法案の通過、環太平洋経済連携協定(TPP)加入などの制約が新たに登場し、当局の為替管理は容易でない状況だ。原則論的には、為替が自然に上がれば韓国企業の製品の価格競争力が上がり、その分輸出に肯定的な影響を及ぼし得る。
しかし、世界的な需要減少で輸出は昨年初めから13カ月の減少が続いており、最長期減少記録の更新も目前に迫っている。安東鉉(アン・ドンヒョン)ソウル大経済学科教授は「為替が上がれば輸出に良いかもしれないが、そうした見方は近視眼的だ」とし、「もしウォン・ドル為替レートが1300ウォン台を超える場合、金融危機や外国為替市場の混乱の方に向かう可能性がある」と指摘した。
むしろ外資流出などウォン安の副作用だけが浮上している。外国人は昨年12月から6兆5000億ウォン分の国内株式を売り越した。
債券も今月だけで4兆7000億ウォン分を投げ売りした。これは1月1カ月間の純流出額の10倍水準である。
こうした状況を勘案すれば、当局が適正な水準で為替安定に乗り出すべきだが、積極的に介入するのも難しい条件である。
大々的に外貨準備を放出することが最も強力な処方だが、これは下手をすれば世界の投資家の不安を煽る余地がある。韓国銀行の関係者は「最近のウォン・ドル為替レートは主要国の通貨政策緩和がどの『程度』かによって方向性が変わる」とし、「方向性が一方に傾いているときはまだ管理可能だが、動きを見通しにくいときは外貨準備だけを捨てる結果を招きかねない」と説明した。
これに伴い、当局は必要なら対応措置を取るという基本原則を掲げつつ、口頭介入と微調整を通じて為替の変動性を減らす方向に動くとみられる。
徐正勲(ソ・ジョンフン)KEBハナ銀行研究委員は政府の外国為替政策に関連し「外国為替市場に急激な偏り現象が現れれば外国為替当局が政策的に対応する必要があり、外国人資金の流出抑制が鍵だが、政策手段が適当でないように見える」とし、「それでも当局は外国人資金の流出を抑える誘因策を用意することに関心を注ぐべきだ」と指摘した。
/金相勲記者 ksh25th@sed.co.kr






