韓国と米国の国防長官が高高度防衛ミサイル(THAAD・サード)配備を韓国の大統領選前に実施することで合意したのは、大統領選後にサード配備の可否が不透明になり得るという戦略的判断を下したものと解釈される。文在寅(ムン・ジェイン)前「共に民主党」代表の場合、支持率首位を走り、最も有力な大統領候補に挙げられているが、サード配備は次期政権で解決すべき問題だとして、配備にやや消極的な立場を示している。国論分裂の様相さえ見せながら難航のうえ配備に合意したが、次期政権でこうした韓米の共同歩調に亀裂が生じた場合、サード配備が立ち消えになりかねないという危機感が働いたとみられる。
外交関係のある消息筋は先月28日、「米国は韓国内部の政治的状況によってサード配備がなかったことに戻るシナリオを、思った以上に強く懸念しているようだ」とし、「マティス長官は韓国の大統領選前にサード砲台だけでも韓国に移し、配備を既成事実化する状況を望んでいた」と語った。
韓国の大統領選の結果にかかわらず、サードの朝鮮半島配備にくさびを打ち込むという強い意志が根底にある。
国防部もこの日、サードについて「可能な限り早く配備する」と明らかにした。
国防部はロッテグループ側との交換契約が成立したことに伴い、この日から慶尚北道星州ゴルフ場を軍事施設保護区域に設定し、警備兵を配置してフェンスを設置する作業に着手した。国防部はフェンス設置に必要な鉄条網などの物資をヘリコプターで輸送する計画だ。
国防部当局者は「米軍に一部だけ提供され、残ったゴルフ場施設が韓国軍と米軍のゴルフ場として活用されるのか」という質問に対し、「残りはわが軍の軍用地として使う計画だ」とだけ答えた。
韓米両国がサード配備を加速させているが、一部では環境影響評価だけでも最低6カ月かかる点から、国防部が即断即決の原則の下で無理に押し進めているとの指摘も出ている。
国防部当局者はこの日のブリーフィングで、「(サード用地確保のための)用地契約と交換が行われたため、可能な限り早い時期にサードが配備されるよう、時期を前倒しするための様々な努力をしていく」と述べ、このように語った。サードは在韓米軍地位協定(SOFA)に基づく用地供与、基地基本設計、環境影響評価、建設などの過程を経て配備される。
しかし環境影響評価だけで6カ月~1年かかるため、国防部が望むように短期間で工事を強行するには、環境影響評価と設計・施工などを同時並行で進めなければならない負担が伴うとみられる。
特に環境影響評価の場合、一般環境評価は1年、33万平方メートル以下の小規模環境評価でも6カ月かかるが、国防部は148万平方メートルに及ぶ星州ゴルフ場の用地を小規模とみなし6カ月と見積もった。国防部当局者は「米国に供与される用地は33万平方メートル以下になると判断した」と述べたが、この基準に従っても9月初めにようやく環境影響評価の結果が出る見通しだ。しかし国防部はこれより早い時期に工事を終える計画であり、無理があるとの指摘が出ている。
これについて環境運動連合生態チームのメン・ジヨン局長は「全体の用地のうち一部だけを環境影響評価の対象としたのは行政便宜主義的な発想であり、法と規定、慣例を遵守すべき政府省庁が日程を前倒ししようと契約以前の時点から前もって環境影響評価に着手する行為も法令違反に当たる」と指摘した。メン局長は「ロッテグループのゴルフ場時代に環境影響評価をすでに受けている」という国防部の主張についても、「事業内容と汚染源が変わった以上、環境影響評価を新たに受けるべきだ」と語った。






