昨年流行した乾杯の挨拶の中に「3無」がある。世の中にただはなく、秘密はなく、そして正解はないという意味だ。人生の核心を突く言葉である。そうだ。実際、個人の人生であれ社会であれ国家であれ、正解はない。
ただし、時代の正解はその時代の人々が作る。国家的なリーダーシップと時代精神に忠実な市民が、民主主義を通じて正解を探していく。国家的に厳しい状況や重要な問題に直面したとき、国家の主体が、何が長短期的に国家と社会の助けになるのかをめぐり、互いに譲歩と妥協を通じて正解を作り上げていく場合が多い。
今、韓国の経済は難しく重要な問題に直面している。そして難題への正解を作り上げていくためには、労使政の「社会的対話(social dialogue)」が必要である。
労使政の対話方式は欧州で始まった制度だ。1982年、深刻な景気低迷に直面し、労使政が共に譲歩と妥協で危機を克服したオランダのワッセナー協約が代表的である。そのほかスウェーデン、デンマーク、イタリア、ドイツなどにも事例が多い。
そして欧州は、欧州連合(EU)として統合した後も、欧州共同体レベルで欧州労連(ETUC)、欧州共同体産業連盟(UNICE)、そして28加盟国政府を代表するEU執行委員会の3者が労使政代表者会議を毎年開催する。そもそも毎年春に開催するよう法で定めている。
欧州の社会的対話が成功裏に運営されている原因についての分析は多様である。基本的に、言説と多様性に対する包容、いわゆるトレランス(tolerance)の文化がしっかり支えている。さらに、それぞれの利害関係を離れて共同体の利益に優先順位を置いているためだという分析は、おおむね一致している。国家という共同体の利益のために、各自が代案を持って対話に参加するということが核心だ。
最近の報道によれば、欧州各国は「第4次産業革命をどう切り抜けるか」の解法を探るため社会的対話を稼働させている。代表的にはドイツの労働4.0がその例だ。ドイツは製造業強化のため、インダストリー4.0と呼ばれる産業4.0を成功裏に推進するため、金属労組など労働組合と共同で労働4.0を作った。労働4.0は、第4次産業革命時代に良質の雇用を作るため、労使政、学界、そして市民が参加する社会的対話プラットフォームである。実にうらやましいことだ。
韓国もすでに労使政対話の歴史が20年を超えた。1997年、国民の政府の時に発足して以来、試行錯誤を通じて多様な経験をしてきた。国民の政府の時の通貨危機克服のための社会協約、参与政府のカード危機時の雇用創出社会協約、2009年の世界金融危機克服のための労使民政合意、2015年の労働市場構造改善のための労使政合意などが成し遂げられた。
そして現政権に入り、民主労総まで参加した4回の労使政代表者会議で社会的対話機構の改編案について合意がなされ、従来の労使政委員会が経済社会労働委員会として新たに発足した。民主労総は韓国労総とともに、経済社会労働委員会発足の産婆役を担った。しかし先日の民主労総代議員大会を通じて、事実上、経済社会労働委員会に不参加とする結論が出た。残念である。社会的対話は、必ず合意に至らなくとも、時代を導いていく主体が集まって議論する場として持続されるべきだ。議論それ自体が合意より意味を持つこともある。合意に至らないことの方がはるかに多い。金であれ法であれ、最終的なものは国会で結論が出るしかなく、最後の締めくくりは好むと好まざるとにかかわらず国会の役割である。
この世に正解はない。しかし、皆で共に正解を探す努力をする社会と、そうでない社会には大きな差がある。耳にたこができるほど聞いた言葉、遠くへ行くには共に行かなければならない。






