国民年金の単一改革案づくりに向けた政府の努力が、なかなか進展を見せていない。経済社会労働委員会(経社労委)傘下の「国民年金改革と老後所得保障特別委員会(年金特委)」は30日、全体会議を開き、所得代替率と保険料率を引き上げる問題を巡って議論したが、経営界と労働界の意見の差を埋められず、3つの複数案を示したまま終了した。経社労委が単一案の取りまとめに失敗したことで、国民年金改革案は長期にわたり漂流する可能性が高まった。
ここで注目すべき点は、国民年金に関する政府の議論の過程が制度自体の改革にのみ執着し、収益率の改善にはさほど関心を置いていないという点だ。韓国労総などの多数案として示された「所得代替率45%と保険料率12%」が実現したとしても、国民年金の枯渇時期を2057年から2063年へとわずか6年遅らせるだけである。しかし年金基金の収益率を1ポイント高めるだけで、年金の枯渇時期を9年も遅らせることができると専門家は診断している。年金制度の改善作業に劣らず、収益率の改善にも気を配らなければならない理由だ。
事情がこうであるにもかかわらず、政府の基金収益率向上の努力はほとんど見えない。むしろ年金を政府政策の手段として動員する動きであり、懸念される。年金基金にスチュワードシップコードを導入し、社会的責任投資を強化していることが代表的だ。さらに最近では、日本の経済報復に関連して非上場の素材・部品企業への投資を検討している状況である。国民年金は国民の老後所得保障のための最後の砦だ。何よりも安定性と収益性に主眼を置かなければならない理由である。それにもかかわらず政府が年金を政策実行の手段としてのみ活用すれば、収益率の低下を招かざるを得ず、それはそのまま財政負担へと帰結する。
そうでなくとも、国民年金基金運用本部が地方に移転したことで優秀な人材が応募を避け、収益率の引き上げにも非常事態が生じている。こうした状況で社会的責任投資などと言って的外れなところに基金を引っ張り出して使えば、基金の不良化は避けられない。そうなれば基金の枯渇時期が早まるだけだ。政府が本当に国民年金の持続可能性を憂慮するのであれば、今からでも制度改善とともに収益率の改善にも気を配らなければならない。






