昨年6月に英国コーンウォールで開かれた主要7カ国(G7)首脳会議で「より良い再建(Build Back Better World・B3W)」構築が合意されると、インドはこれを歓迎した。中国の「一帯一路」に対抗し低所得国のインフラ開発を支援するというB3W構想が、インドが熱望する国際南北輸送回廊(International North-South Transport Corridor・INSTC)建設の資金源になると期待したためだ。INSTCはロシアとイラン・インドを結ぶ7200kmに及ぶ陸路と海路が北から南へつながる複合輸送路である。ロシアの提案でロシア・インド・イランが2000年にINSTC構想協定を締結し、2002年に批准手続きを終えた。この輸送路はスエズ運河を通過する既存経路に比べ距離は40%短く、費用は30%安いため、時間を半分程度短縮できると評価されている。
2013年の中国による一帯一路宣言以降、インドは中国の攻勢で孤立がさらに深まる前に、インド・ペルシャ湾・カスピ海を結ぶINSTCを構築してこそ活路を開けると判断した。しかしロシア・イランに対する西側の敵対感が障害となっている。インドは日本を引き入れようとして失敗し、欧州系資本に資金支援を要請したが回答を得られなかった。
遅々として進まなかったINSTC構想に再び始動がかかっている。数日前、インドへ向かうロシアの貨物がINSTCを通じてイランに到着したとの報道がインド・イラン現地を熱くさせた。これに先立ちウラジーミル・プーチン露大統領がカスピ海沿岸国首脳会議でINSTCに言及し、イランはINSTC路線を利用してロシアからインドへ商品を輸送すると発表した。ウクライナ戦争、イラン核交渉の停滞、インドの中国牽制など利害が一致し、INSTCが加速している。この構想が実現すれば、2030年にはユーラシア・南アジア・湾岸地域間のコンテナ総交易量の75%を占めることになり、物流地政学の構図が変わる。国益に沿った離合集散によって物流の「ビッグゲーム」が繰り広げられている。中国と北朝鮮の脅威に直面する韓国も、価値中心の国際連帯への参加や精緻な外交戦略などを通じて国益を最大化する方策を探らなければならない。






