氷点下10度前後の厳しい寒さが続いた26日午前10時。ソウル市永登浦区の永登浦サランナヌムフードマーケット1号店の扉が開くと、寒さに身を縮めた高齢者が順に中へ入ってきた。防寒帽とマフラーをしっかりと巻いて列に並んだ人々は、レトルトご飯やラーメン、のりなどが入った袋を一つずつ受け取った。袋を手にした後は、入ってきた時よりも表情を和らげて再び外へと歩み出した。
ここで運営されている政府の試験事業「クニャンドゥリム」は、事業所を直接訪れた市民に食料・生活必需品1回分(約2万ウォン相当)を無償で提供する方式だ。既存の福祉申請手続きを経なくても現場で即時に支援を受けられるようにし、制度の外にとどまっていた脆弱層を早期に発見しようという趣旨で企画された。初回訪問は別途の資格確認なしに物品を支給し、年間の利用可能回数は最大3回に制限される。
この日、永登浦サランナヌムフードマーケット1号店を訪れた利用者の多くは高齢層と基礎生活受給者だった。永登浦区によると、今月23日時点で累計利用者396人のうち60代以上は284人で全体の71.7%を占めた。基礎生活受給者は178人(44.9%)、次上位層は18人(4.5%)だった。全体の利用者のうち353人は1回のみの訪問者で、2回目の訪問まで続いたケースは43人と集計された。
韓国保健福祉部によると、昨年12月1日から今月22日まで全国でクニャンドゥリムを利用した人数は累計3万2023人だ。このうち相談手続きまでつながったケースは4961人で、その後に住民センターの福祉連携申請につながった事例は1823人だ。
初回訪問と異なり、2回目の利用からは物品提供に先立って相談手続きが行われる。現場では身分証を確認した後に相談を行い、相談に応じた後は物品提供が中止され、以降は住民センターの福祉申請手続きへ移ることになる。ある区役所職員は「1日の利用者は10~20人程度で、訪問者の大半は高齢者や基礎生活受給者だ」とし、「相談後は既存の福祉制度へ連携する方式だ」と語った。
利用者らは、現金よりもレトルトご飯やラーメン、のりのようにすぐ食べられる食料品が食事をつなぐのに役立つと口をそろえた。朴正南(パク・ジョンナム)さん(75)は「障害者向けの仕事で区役所を行き来する中で、昨年12月にクニャンドゥリムを知った」とし、「現金はほかに使っているとすぐ消えてしまうが、ご飯やラーメンはそのまま食べられて数日はしのげるので、これだけあっても当面の食事は解決する」と話した。ただ、体の動きが不自由な人には訪問と対面相談そのものが容易ではなく、制度へのアクセスに限界があるとの指摘も出ている。






