今年の健康保険財政が6年ぶりに赤字に転じる可能性が高いにもかかわらず、政府は来年の健康保険料率を7.19%に据え置いた。韓国保健福祉部は8日に健康保険政策審議委員会を開き、「健保財政は安定的に運営されている」として、2027年度の健保料率を今年の水準にとどめた。福祉部は過去5年間の健保財政の黒字、3カ月分(約30兆ウォン)の準備金保有、政府支援金1兆1000億ウォンの増額、半導体好況による収入増などを理由に挙げた。健保料率は先に2024年と2025年の2年連続で7.09%に据え置かれ、今年0.1ポイント引き上げられた。
何よりも、健保財政が安定しているという政府の安易な状況認識が懸念される。健保財政は2018~2020年の3年連続で赤字を出した。その後は毎年2兆~4兆ウォン台の黒字を出したが、2024年に1兆ウォン台、昨年は4996億ウォンと黒字幅が急減し、結局今年1~3月期には4兆ウォン近い赤字を記録した。少子高齢化で健保料を負担する生産年齢人口が減る一方、高齢層が急増し、支出が収入を上回る構造が固定化したためだ。このままでは2029年に準備金が全て枯渇し、2042年には累積赤字が563兆ウォンに達するという国民健康保険公団の警告は、なおざりにできない。
「健保の穴」が予見される厳しい現実の中で、政府が支出のリストラと保険料収入の拡大に積極的に動かないのは責任放棄に等しい。国政支持率が急落する状況で、政府が家計の追加負担を考慮して据え置きを決めたのではないかという疑念も提起される。健保財政の安定化に消極的な政府は、重症・希少難治疾患者や高齢者・子どもなど197万人に年間6000億~8000億ウォンを追加支援するなど、保障範囲は広げた。
政府の状況認識が誤っていれば、まともな処方は期待しがたい。政府は「健保の財布」の現実からきめ細かく点検し、将来の財政推計にも一分の誤差もないようにしなければならない。何よりも、必須医療の保障性は高めつつ、過剰診療に対する自己負担率を大幅に引き上げて健保の漏れを防ぐべきだ。あわせて、健保に保険料の予想収入の20%を国庫支援するよう定めた義務規定をきちんと履行し、健保の健全性を高める必要がある。国民の生命の最後のとりでである健康保険制度が重病にかかる前に、「改革の手術台」に載せるべき時だ。






