オ・スワン(呉秀完)作家は、昼は韓医師として働き、夜は小説を書く16年目の作家だ。これまで執筆をあきらめようとした瞬間も何度かあった。そのたびに文学賞が再びペンを握らせた。2010年に『本狩人のための案内書』で中央長編文学賞を受賞してデビューした作家は、2020年に『図書館を去る本たちのために』で世界文学賞を、今年は『エッケ・ホモ』で魂火文学賞を受賞した。
オ作家は15日、ソウル中区の飲食店で開かれた「2026年魂火文学賞受賞作出版記者懇談会」で、「今回の受賞もあきらめるなという応援と受け止め、力の及ぶ限り懸命に書いてみたい」と語った。魂火文学賞は小説『魂火』を書いたチェ・ミョンヒ(崔明姫)作家の文学精神をたたえるために制定された文学賞だ。16回を迎えた今年は計341編の作品が出品された。
受賞作『エッケ・ホモ』は、災害で人類の99%が消えた世界で、ほとんど言葉を話さない少女ハーブと、彼女を世話する中年男性ノーマンの物語を描いた。ポストアポカリプスというジャンルの土台の上に人間性と文明の意味を加えたと評価されている。
小説の題名である「エッケ・ホモ(Ecce homo)」は「この人を見よ」という意味のラテン語で、ユダヤ総督ピラトがいばらの冠をかぶったイエスを群衆の前に示して語った言葉だ。作家は宗教的な意味よりも、人間の法律や倫理・規則から外れた存在に注目した。彼が最初に書こうとしたのは「サイコパス・スーパーマンの物語」だった。とくに「人間を左右する力を持った存在が人間社会で異邦人として生きていくならどう行動するかを描いてみたかった」と述べた。「人間は生態系の最頂点にいる存在なのに、何のためらいもなく生態系を破壊します。人間より上位の存在がいるとすれば、人類も絶滅に近い脅威を受け得るのではないかと考えました」。
『エッケ・ホモ』は魂火文学賞で初のSF(科学小説)受賞作だ。作家は「最近、韓国文学でSFが占める比重が大きくなっている」とし、「SFが主流になるよう尽力してくれた先輩作家たちの功績が大きい」と語った。続けて「SFといえば科学小説を思い浮かべるが、私が考えるSFは思索と思考実験を通じて世界を構成し人間を描写する小説だ」とし、「『エッケ・ホモ』は生態系で人類が占める位置を語る『生態学的SF』ではないかと思う」と付け加えた。






